「民泊を始める前に近隣住民から同意書をもらう必要があるのか知りたい。法律上の義務なのか、実際にはどう対応されているのか教えてほしい。」
民泊の開業にあたり、近隣住民からの書面による同意が必要かどうかは誤解されやすいポイントです。この記事では法律上の位置づけと、実務上どのように扱われているかを整理します。
法律上、近隣住民の同意書は義務付けられていない
国のガイドラインは「事前説明」を推奨するにとどまる
住宅宿泊事業法および国のガイドライン上、近隣住民からの署名や同意書の取得は義務付けられていません。国が求めているのはあくまで事前の「説明」であり、相手の同意そのものを得ることまでは求められていない点に注意が必要です。
自治体の条例でも「説明」の義務化が中心
渋谷区など事前周知を強化している自治体でも、義務化されているのは対面での説明会開催や戸別訪問といった「説明」の実施であり、近隣住民から同意書を取得することまでは求められていません。説明義務と同意取得義務は別の概念であることを理解しておく必要があります。
共同住宅では管理組合との関係で書面が必要になることがある
管理規約上の手続きとして承諾書が求められるケース
行政への届出上は同意書が不要であっても、分譲マンションの管理規約で民泊の実施に管理組合の承諾を必要とする定めがある場合は、規約に基づく手続きとして承諾書の提出が求められることがあります。これは行政上の義務ではなく、管理組合との私的な契約関係に基づく手続きである点に注意してください。
同意書がなくてもトラブル予防のためにできること
説明内容を記録した書面を残しておく
同意書の取得までは不要であっても、いつ・誰に・どのような内容を説明したかを記録した書面を作成し、保管しておくことは有効な自衛策になります。後日「説明を受けていない」といった主張がなされた場合の証拠として機能します。
「反対されたら開業できない」わけではない点も理解しておく
近隣から強い反対の声が上がったとしても、それ自体が届出の受理を法的に妨げるものではありません。ただし、説明義務が課されている自治体で説明を怠ったまま届出を行うと、条例違反として指導や公表の対象になる可能性があるため、反対の有無にかかわらず、定められた説明手続きそのものは確実に履行しておく必要があります。
まとめ
- 住宅宿泊事業法および国のガイドラインでは近隣住民からの同意書取得は義務付けられていない
- 自治体条例で義務化されているのも「説明」の実施であり、同意取得までは求めていない
- 分譲マンションでは管理規約上の手続きとして承諾書が必要になる場合がある
- 法律上の同意書が不要でも、説明内容を記録した書面を残しておくことがトラブル予防につながる
- 近隣の反対自体は届出の可否を左右しないが、説明義務そのものの履行は怠らないようにする
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監修者


渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。


