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行政書士
旅館業の100m確認では、「学校」という名称の施設だけを探してはいけません。法律上の学校・幼保連携型認定こども園・児童福祉施設に加え、自治体の条例で各種学校、図書館、公園、スポーツ施設等が対象になる場合があります。
また、距離は駅からの道のりのような道路距離ではなく、対象施設と旅館予定地の敷地を基準に確認するのが基本です。地図上で境界に近い場合は、敷地境界と自治体の測定方法を確認しなければ結論を出せません。
- Googleマップだけで対象施設を確定しない
- 学校名だけでなく、児童福祉施設・条例指定施設も確認する
- 100m付近は、敷地境界と保健所の扱いを確認する
旅館業法が定める対象施設
旅館業法第3条第3項は、次の施設を基本の対象としています。条文上の定義と、施設の通称が一致しないことがあるため、名称だけで判断しません。
- 学校:小学校、中学校、高等学校、幼稚園等。大学は除外されます。
- 幼保連携型認定こども園:認定こども園のうち法律上の区分を確認します。
- 児童福祉施設:保育所、児童厚生施設、母子生活支援施設、乳児院等。
- 条例で定める類似施設:自治体の条例で追加される社会教育施設等。
病院、大学、すべての公園・スポーツ施設が全国一律に対象という意味ではありません。逆に、名称から対象外に見えても、法令上の児童福祉施設や条例指定施設に該当することがあります。
東京都では図書館や指定施設も候補になる
東京都の旅館業法施行条例は、法定施設に加えて、一定の各種学校、図書館、主として又は多数の児童が利用する博物館・公民館・公園・スポーツ施設等のうち指定された施設を対象にしています。
港区の公式手引も、社会教育施設の例として図書館、外国人学校、博物館、公園、児童遊園、スポーツ施設等を挙げています。実際の対象は、施設の存在だけでなく、条例上の定義・指定を確認します。
「保育園」「こども園」は制度上の区分を確認する
ウェブサイトや看板では「保育園」と表示されていても、法令上の種別や設置者が異なることがあります。自治体の施設一覧、担当部署の情報、保健所が照会対象として扱うかを確認します。
100mはどこからどこまで測るのか
法律は、対象施設の「敷地の周囲おおむね100mの区域内」を基準にしています。実務では、対象施設の敷地と営業施設の敷地の位置関係を確認します。新宿区の旅館業構造設備概要も、対象施設の敷地から営業施設の敷地までの距離を記載する形式です。

そのため、建物の玄関同士、地図上の施設名称ピン、道路に沿った徒歩距離だけで判定するのは危険です。対象施設が広い敷地を持つ場合、地図の中心点では100mを超えて見えても、敷地境界同士では範囲内になることがあります。
地図で90〜110m程度に見える物件は、最初から「対象外」「対象内」と断定せず、施設敷地と営業施設敷地の境界資料をそろえて保健所へ確認すると、契約後の手戻りを防ぎやすくなります。
契約前に対象施設を調べる手順
地図だけでは見落としやすい4つのケース
- 地図に施設名が表示されていない小規模な保育所・児童施設
- 広い校庭・公園で、名称ピンと敷地境界が離れている
- 開設予定・移転予定で、現地地図へまだ反映されていない
- 条例で指定される施設かどうかを、施設名称だけでは判断できない
民泊GOの支援案件では、事業者がGoogleマップで調べた時点では表示されなかった施設が、保健所との事前協議で使用された地図から、照会対象と判明したことがあります。
この案件は事前協議の段階で判明したため、申請後の遅延は防げました。一方、地図サービスの検索結果だけで「対象施設なし」と結論していたら、照会期間や追加資料を工程に反映できなかった可能性があります。
照会の法律上の結論と、100m以内でも許可された公的事例は代表記事で解説しています。
100mを超えていても別の規制は残る
学校等照会の対象外でも、住宅宿泊事業の上乗せ条例、近隣周知、用途地域、建築基準法、消防法、自治体独自のラブホテル規制等は別に確認します。「学校から離れているから民泊できる」とは判断できません。
特に住宅宿泊事業では、旅館業法の学校等照会は直接適用されませんが、学校周辺で営業日を制限する自治体があります。制度を決める前に、その住所で使える制度と営業可能日を比べます。
まとめ|地図で候補を拾い、条例と保健所で確定する
旅館業の学校等施設には、学校だけでなく、幼保連携型認定こども園、児童福祉施設、自治体条例で追加される図書館・公園等が含まれる場合があります。100mは施設名称のピンや徒歩距離ではなく、敷地の位置関係を基準に確認します。
地図は候補を拾う道具として使い、施設区分、敷地境界、照会対象、必要資料、期間は管轄保健所へ確認してください。
参考にした公的一次情報
著者


行政書士 渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。

