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住宅宿泊事業の変更届は原則30日以内、管理委託に関する事項は変更前です。廃業も30日以内に届け出ますが、別の人や法人への引継ぎは単なる変更届では済みません。
まず、何をいつから変えるのかを整理してください。この記事では、管理会社・届出者情報・図面の変更と廃業について、必要な資料と手続きの順番を解説します。制度別の全体像は次の記事で確認できます。
まず押さえる:30日以内の変更届と、事前の届出
住宅宿泊事業法3条4項は、届出事項に変更があったときは変更の日から30日以内に届け出ることを定めています。一方で、住宅宿泊管理業務の委託に関する事項(同条2項6号)については、あらかじめ届け出るものとされています。管理会社を替える、法定の管理委託事項を変える、といった話は「変えてから30日」ではありません。
この違いを最初に確認しておくと、変更の段取りが崩れにくくなります。たとえば管理会社の切り替えは、新しい委託契約の内容を固めてから届出を済ませ、そのうえで運用を切り替える流れになります。契約前に確認しておくべき点は、観光庁が管理業務の委託についてまとめたページも参考になります(観光庁:住宅宿泊管理業務の委託)。
制度上の期限の整理
| 場面 | 届出のタイミング | 根拠 |
|---|---|---|
| 届出者の氏名・名称・住所、法人情報など一般の届出事項の変更 | 変更の日から30日以内 | 住宅宿泊事業法3条4項 |
| 住宅宿泊管理業務の委託に関する事項の変更 | あらかじめ届出 | 住宅宿泊事業法3条4項(同条2項6号) |
| 事業の廃止等 | その日から30日以内 | 住宅宿泊事業法3条6項 |
条文の文言は厚生労働省の法令データでも確認できます(住宅宿泊事業法(法令データ))。なお、国家戦略特区の特区民泊(外国人滞在施設経営事業)は別制度です。本記事の期限はそのまま当てはまりませんので、認定を受けた自治体の窓口で確認してください。
変更事項ごとの確認ポイントと準備
届出者の氏名・名称・住所・法人情報
個人の改姓や転居、法人の商号変更、本店移転、役員変更などが該当します。登記事項が動いた場合は、変更後の登記の内容と届出内容が食い違わないように整えます。
注意したいのは、これらはあくまで「同じ事業者の情報が変わった」ケースだという点です。個人事業として届け出た人が法人を設立し、その法人で運営する場合、代表者が同じ人であっても、事業者としては別の主体です。名称変更として処理できる話ではありません。
住宅宿泊管理業務の委託に関する事項
なお、法律上委託が必要な住宅宿泊管理業務は、その全部を一つの登録管理業者へ委託する扱いです。法定業務の一部だけを任せればよい、という意味ではありません。
管理業者を替える、家主居住型から不在型に移行して新たに委託する、法定の管理委託事項を見直す、といった変更です。前述のとおり、あらかじめ届け出る扱いになっています。
この変更は書類だけの問題にとどまりません。緊急時の連絡先、宿泊者への案内、周辺住民への周知の内容にも管理業者の情報が出てきます。切り替えのときは、掲示物や標識、案内文の記載が古いままになっていないかも合わせて確認してください。
家主居住型から家主不在型に切り替える場合の考え方は、次の記事でも整理しています。
宿泊室・図面・定員など住宅の内容
間取りの変更、宿泊室として使う部屋の入れ替え、定員の見直しなどは、届出時に提出した図面や記載内容との整合が問題になります。工事や大きな模様替えを伴う場合は、変更届の要否だけでなく、建築や消防の観点からの確認も必要になることがあります。
- 届出時に提出した図面と、現状の間取り・用途が一致しているか
- 宿泊室の位置や面積、定員の考え方が変わっていないか
- 設備の変更が、消防設備や避難経路の前提に影響していないか
- 変更後の状態を説明できる図面や写真を残せているか
なお、申請・届出の手続中に独断で間取りを変えると、変更内容によってはやり直しが生じます。申請中の変更については、既存記事で具体的に触れています。
届出住宅そのものを変えるとき
ここは切り分けが必要です。住宅の所在地は届出事項ですが、別の物件で事業を始めるという話を、既存の届出の「変更」として同じ枠で考えるのは避けてください。別の物件で住宅宿泊事業を始める場合は、その住宅について新規の届出が必要です。旧住宅でも営業を続けるか、廃業するかを分けて準備します。住所の表記変更と物件の移転を混同しないようにしてください。
事業者そのものが替わるとき
営業主体が別人・別法人になる場合は、変更届で処理する話ではありません。観光庁の公式FAQでは、営業主体が別の者になる場合、従前の事業者の廃業と新たな事業者の新規届出が必要とされています(観光庁:住宅宿泊事業法に関するFAQ(PDF))。
また、法人の株式が動くこと(株主が替わること)と、事業そのものを他社へ譲渡することは、法的には別の話です。売却や引継ぎを検討している場合は、どちらの形なのかを先に確定させてください。
必要書類は自治体の窓口資料で確認する
相談前には、変更の内容に対応する資料を手元で確認すると整理が進みます。次は準備する資料の例であり、全国共通の必須添付書類一覧ではありません。
| 変更するもの | 準備・確認する資料の例 |
|---|---|
| 氏名・住所・法人情報 | 従前の届出控えと、変更後の情報を確認できる戸籍・登記事項等の資料 |
| 管理業者・管理委託に関する事項 | 新しい管理受託契約、委託先の名称・登録番号・連絡先 |
| 宿泊室・面積・定員 | 新旧の図面、面積の計算資料、変更する設備の内容 |
| 事業の廃止 | 届出番号、廃止日、届出者情報、提出済み報告の控え |
変更届の様式や、変更内容ごとに求められる添付書類は、自治体が公表している窓口資料に沿って準備します。全国一律の固定リストとして覚えてしまうと、実際の提出時に不足が出ます。
たとえば東京都新宿区は、住宅宿泊事業のページで手続や様式を案内しています(新宿区:住宅宿泊事業)。届出先の自治体が公表している最新の資料を確認し、変更事項に応じて何を添えるかを確かめてください。
- 届出先自治体の様式(変更届・廃業届)が最新版か
- 変更内容を裏づける資料(登記事項証明書、契約書、図面など)の要否
- 提出方法(窓口・郵送・システム)と、必要な部数
- 変更に伴い掲示物や周知の内容を直す必要があるか
廃業届:やめるときの期限と、間違えやすい点
事業の廃止等については、その日から30日以内に届け出ることとされています(住宅宿泊事業法3条6項)。届け出る人は事由によって異なり、事業者が死亡した場合は相続人が、その事実を知った日を起点とする扱いです。
「予約を止める」と「廃業する」は違う
しばらく募集を止めている、今年は宿泊者を受け入れていない、という状態は廃業ではありません。観光庁のFAQでも、営業日がなくても廃業の届出をしていない限り、定期報告などの義務は続くと整理されています。休止のつもりで放置すると、報告漏れとして表面化します。
やめる前に順番を確認する
廃業を決めたときは、廃業届を出す前後で必要になる報告の扱いを、届出先の窓口で確認してください。最後の期間分の報告をどう扱うかは、運用の確認が必要な部分です。
変更前後の進め方
民泊GOの支援
民泊GOでは、変更内容と従前の届出資料、現在の運営体制を突き合わせ、必要な届出の整理、行政との協議、図面や申請資料の準備を支援しています。建築や消防設備の専門的な判断が必要な場合は、建築士や消防設備の専門家と役割を分けて進めます。
行政の判断や許認可の結果を保証するものではありませんが、どの手続をどの順番で進めるかを早い段階で整理することで、やり直しを減らせます。資料が揃っていなくても、住宅の所在地と変更予定の内容だけでご相談いただけます。
参考資料
著者


行政書士 渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。

