「民泊を始める前に近隣へ挨拶や説明をする必要があると聞いた。どの範囲まで、何を伝えればいいのか知りたい。」
民泊は近隣トラブルが開業後の運営を左右する最大のリスクの一つです。国の指針では事前説明は「望ましい」とされるにとどまりますが、実務上はトラブル予防のため多くの自治体で義務化が進んでいます。この記事では近隣への挨拶・説明が必要な範囲と、伝えるべき内容を整理します。
国の指針と自治体条例で扱いが異なる
国のガイドラインでは事前説明は「望ましい」とされている
厚生労働省・国土交通省の住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)では、届出者から周辺住民に対し住宅宿泊事業を営む旨を事前に説明することが望ましいとされています。つまり全国一律の法的義務ではなく、あくまで推奨事項という位置づけです。
自治体の上乗せ条例では義務化が進んでいる
一方で、近隣トラブルの増加を受け、渋谷区や江戸川区などでは事前の対面による説明会や戸別訪問が条例で義務付けられるようになっています。物件の所在地によって扱いが大きく異なるため、開業前に必ず所在地の条例を確認することが欠かせません。
説明が必要な範囲はどこまでか
戸建てなら隣接する住戸、共同住宅なら管理組合や上下左右の住戸が目安
説明の対象範囲は自治体の条例によって定められている場合があり、目安としては戸建てであれば隣接する敷地の住民、共同住宅であれば同じフロアの両隣や上下階の住戸、および管理組合が対象になることが一般的です。条例で対象範囲が具体的に定められている自治体では、その範囲に沿って漏れなく説明する必要があります。
伝えるべき内容
事業の形態・連絡先・緊急時の対応方法を明確に伝える
近隣への説明では、住宅宿泊事業として届出を行う予定であること、家主居住型か家主不在型かといった運営形態、管理者の緊急連絡先、ごみ出しのルール、騒音防止への取り組みなどを具体的に伝えることが重要です。抽象的な説明にとどめず、トラブル発生時にどう対応するかまで示すことで、近隣の不安を和らげやすくなります。
説明を行う際の実務上のポイント
説明した記録を残しておくことがトラブル予防につながる
説明を行った日時・相手・伝えた内容を記録として残しておくと、後日「説明を受けていない」といったトラブルが発生した際の証拠になります。自治体によっては、区その他関係機関との相談・調整等実施記録の提出を求めるところもあるため、日頃から記録を残す習慣をつけておくことをおすすめします。
まとめ
- 国のガイドラインでは近隣への事前説明は「望ましい」とされる推奨事項にとどまる
- 自治体の上乗せ条例では対面での説明会や戸別訪問が義務化されるケースが増えている
- 説明対象の範囲は隣接住戸・上下左右の住戸・管理組合が目安となる
- 事業形態・連絡先・緊急時対応など具体的な内容を伝えることが重要
- 説明した日時・相手・内容を記録しておくことが後のトラブル予防につながる
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監修者


渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。


