墨田区の民泊規制【2026年4月施行】営業日・常駐要件・新規と既存の違い

墨田区の民泊規制【2026年4月施行】営業日・常駐要件・新規と既存の違い

「スカイツリーの近くで良い物件が見つかったが、墨田区は2026年4月から民泊のルールが変わったと聞いた。自分の物件はいつ営業できるのか」。墨田区の物件を検討する方から、施行後に増えているご質問です。

墨田区では、2026年4月1日以後に受理された住宅宿泊事業(民泊)について、日曜日正午から金曜日正午まで事業を実施できません。届出住宅内等に管理者が常駐する場合は例外となりますが、「近くにいて駆け付けられる」だけで常駐と認められるとは限りません。2026年3月31日以前に届出が受理された住宅とは適用が異なるため、まず届出日と管理体制を確認します。

この記事では、営業できる期間、常駐による例外、新規と既存の分かれ目、届出前に必要な説明会または戸別訪問、旅館業側の2026年改正、そして物件契約前の確認順序を整理します。本文の情報は2026年8月27日時点で墨田区の公式ページを確認したものです。

2026年4月1日から新規届出の営業日が制限された

墨田区の民泊営業日と常駐例外を確認するイメージ
墨田区では、新規・既存と常駐体制を分けて営業条件を確認します(イメージ)。

制限の境界は「日」ではなく「正午」で区切られる

墨田区は民泊対策を強化する新条例を、2026年4月1日から施行しました。2026年4月1日以後に届出が受理された住宅宿泊事業(本記事では「対象となる届出住宅」と呼びます)では、区内において日曜日正午から金曜日正午までの間、事業を実施できません。制限の境界が「日」単位ではなく「正午」で区切られている点が、営業日設計では重要になります。

新条例の概要は、墨田区「民泊対策を大幅強化、新条例を施行」(2026年8月27日確認)で公表されています。

条例、施行規則及び2026年4月1日から適用されるガイドラインは、墨田区「住宅宿泊事業等の規制のあり方」(2026年8月27日確認)に掲載されています。営業日の設計は、この条例本文と規則で読み合わせておくと安全です。

週のどこが営業できるかをタイムラインで確認する

対象となる届出住宅で、制限がどの時間帯にかかるかを整理すると次のようになります。予約サイトの営業日設定は、この境界に合わせて作ります。

曜日・時間帯 対象となる届出住宅の取扱い
金曜日正午〜土曜日終日 実施できる期間
日曜日午前(正午まで) 実施できる期間
日曜日正午〜金曜日正午 実施できない期間

実務で迷いやすいのは、宿泊の初日と最終日のどちらが制限にかかるかです。まずは想定するチェックイン・チェックアウトの時刻を正午の境界に当てはめ、受け入れたい予約パターンを具体的に書き出します。そのうえで、そのパターンが実施可能かを区へ確認するのが確実です。この当てはめは条例・規則の解釈に関わるため、本記事では断定せず、要確認事項として扱います。

予約パターンが固まってから、1泊のみを受けるのか2泊を基本にするのかを決め、清掃と鍵の受け渡しの体制を組むと手戻りが減ります。

なお、ここまでは営業できる区域・期間の制限に関する部分です。近隣への説明、標識、廃棄物、消防、建築などの条件は別に定められており、営業日の制限を満たすだけでは事業を開始できません。

管理者が届出住宅内等に常駐する場合は例外になる

常駐場所の範囲は条例・規則・ガイドラインで確認する

墨田区の新条例では、管理者が届出住宅内等に常駐する場合を、期間制限の例外として位置づけています。区の公表資料では、届出住宅内、同一の建築物内、同一敷地内の建築物、隣接する建築物といった場所が例外の枠組みとして示されています。ただし、どの範囲までが認められるかは条例、施行規則及びガイドラインの定めに従うため、物件ごとに条文へ当てはめる作業が必要です。

例外を使う前提で計画を立てる場合は、居室の確保、常駐者の勤務体制、費用まで含めた検討になります。管理業務を外部委託するときは、料金だけでなく、常駐の要件を満たす形で人を配置できるかを契約前に確かめておくと安全です。

「駆け付けられる」ことと「常駐」は同じではない

もっとも多い誤解は、周辺に管理者がいて短時間で駆け付けられるなら常駐に当たるだろうという想定です。常駐は、定められた場所に人がいる状態を指す考え方であり、移動時間の短さで代替できるとは限りません。

弊所へのご相談でも、管理業者の人員を近隣に確保できる見込みがあることを根拠に、平日営業を前提とした収支を組んでいた例があります。よくあるのは、人の近さを常駐の要件と同じものとして扱ってしまう判断です。

ここで例外に当たらないと判明すると、稼働できる曜日が週末中心に減ります。平日稼働を織り込んだ収支は成り立たなくなり、賃料や人件費の前提から組み直すことになります。

回避方法は単純です。物件を契約する前に、常駐者を置く場所を図面上で特定し、その配置が条例の例外に当たるかを区の資料と窓口で確認します。ご相談の時期としては、内見後・契約前が適しています。

なお、例外に当たるかどうかは、物件の構造、居室の位置、管理体制の実態によって判断が変わります。常駐者の人数だけで決まるものではありません。

新規と既存は、2026年4月1日以後の届出日で分かれる

見るのは提出日ではなく、不備のない書類一式が到達した日

新しい営業期間の制限が適用されるかどうかは、2026年4月1日以後に届出が受理されたかどうかで分かれます。ここで基準になるのは、窓口へ書類を持ち込んだ日ではなく、不備のない書類一式が到達した日です。

物件の引渡し日や工事の完了日を基準に「うちは既存扱い」と考えていると、判断を誤ります。届出済みの物件を購入・承継する場合も、届出がいつ受理されたものかを売主や管理業者に確認しておくことが実務的です。

既存の届出住宅は「対象外の区分」として理解する

2026年4月1日前に受理された届出住宅は、同日以後に適用される営業期間の制限の対象外として整理されています。これは条例の適用区分の話であり、「当面は従来どおり」「今後も永続的に変わらない」といった性質のものではありません。条例や規則が改正されれば、適用関係は改めて確認する必要があります。

また、対象外となるのは営業できる期間に関する部分です。既存施設だからといって、区のルール全体が施行前の状態で固定されるわけではありません。届出内容の変更、管理業者の変更、売買や事業承継を予定している場合は、その手続の後も同じ区分が維持されるのかを含めて、区へ個別に確認しておくと安全です。

墨田区だけでなく、近隣の区や他の候補エリアと比べたい場合は、23区の営業制限を同じ評価軸と確認日でまとめた記事が入口になります。

届出前には説明会または戸別訪問が必要

5日前までの周知と、届出前日までの説明を日程に組み込む

墨田区では、届出の前に、近隣住民等に対する説明会の開催または戸別訪問による説明が求められます。説明会等を実施する日の5日前までに周知を行い、届出の前日までに説明を終えている状態にする流れです。手続の詳細は、墨田区「住宅宿泊事業(民泊)に関する手続き」(2026年8月27日確認)で確認できます。

この工程は、開業日から逆算したときに最も圧縮しにくい部分です。周知から説明、そして届出までの日数が固定されているため、書類作成と並行して早めに着手しないと、開業希望日が後ろへずれます。

20メートルの範囲、名簿・地図、議事録などの記録を残す

説明の対象は、届出住宅の周囲おおむね20メートルの範囲が目安になります。届出時には、説明を行った相手方の名簿、範囲を示した地図、説明会を開催した場合の議事録といった記録の提出が想定されます。誰に、いつ、どのように説明したかを残す前提で進めるのが実務的です。

範囲の測り方は、建物単体の外壁だけを起点にすると狭くなりがちです。敷地の形状や棟の配置によって起点の取り方が変わるため、範囲の判断そのものを事前に区へ相談しておくと、名簿づくりのやり直しを防げます。

説明資料の作り方や、実際の訪問の進め方は次の記事で具体的に扱っています。

住宅宿泊事業と旅館業では、2026年改正の内容が違う

墨田区の2026年改正は、住宅宿泊事業だけでなく旅館業にも及んでいます。ただし、内容は同じではありません。混同すると、必要な体制を取り違えます。

制度別の比較

比較の視点 住宅宿泊事業(2026年4月1日以後の受理) 住宅宿泊事業(2026年3月31日以前の受理) 旅館業(2026年4月1日以後の許可申請)
営業できる期間 日曜日正午〜金曜日正午は実施不可 同日以後の営業期間制限の対象外 曜日・時間帯による制限は住宅宿泊事業に対するもの
人の配置 届出住宅内等での管理者常駐が期間制限の例外 -(注参照) 施設内等での営業従事者の常駐が必要
住民への説明範囲 周囲おおむね20メートル -(注参照) 従来の10メートルから20メートルへ拡大
判断の起点 届出の受理日 届出の受理日 許可申請の時期

注:2026年3月31日以前に受理された届出住宅の人の配置と住民説明の範囲は、届出時点のルールで確認します。

営業日数の制限を避けたいという理由だけで旅館業へ切り替えれば規制を回避できる、という単純な整理はできません。旅館業には旅館業側の常駐と住民説明の要件があり、建築基準法上の用途、消防設備、施設の構造要件も併せて比較する必要があります。

「常駐」の意味は制度ごとに違う

人の配置については、制度ごとに趣旨が異なります。住宅宿泊事業の管理者常駐は営業期間の制限の例外として位置づけられ、旅館業の営業従事者の常駐は営業施設の管理体制として求められるものです。同じ「常駐」という言葉でも、置く場所や評価の仕方は別のものです。

住民説明の実務は制度と時点を分けて確認する

2026年2月に弊所が個別確認した旅館業の案件では、戸別訪問を3回行う取扱いについて、同じ日の朝と晩であれば2回分として扱われる一方、同じ日の朝・昼・晩で3回を完了させる進め方は認められませんでした。これは当時の旅館業案件での個別の取扱いであり、住宅宿泊事業の説明会・戸別訪問に当てはめることはできません。訪問の回数や日程の詰め方は、制度と時点を分けて確認する必要があります。

どちらの制度で進めるかの判断軸は、次の記事で整理しています。上乗せ条例の厳しい地域で検討する際の共通の考え方として参照できます。

物件契約前に確認する順番

墨田区の物件は、次の順序で確認すると手戻りが減ります。順番を入れ替えると、後の工程で前提が崩れやすくなります。

  1. 物件の住所と建物の用途を確認し、住宅宿泊事業と旅館業のどちらで検討するかを仮に決める
  2. 既存の届出がある物件なら、届出の受理日を確認し、新規・既存のどちらの区分かを判定する
  3. 管理者の常駐場所を図面上で特定し、期間制限の例外に当たり得るかを条例・規則・ガイドラインで確認する
  4. 周囲おおむね20メートルの説明対象を地図で洗い出し、説明会または戸別訪問の日程を届出日から逆算する
  5. 建築士による適合確認、消防、廃棄物・清掃の各事前相談を、工事や設備の発注前に進める

このうち1から3までは、契約前に判断しておきたい項目です。4と5は工事や発注のスケジュールに直結するため、書類作成と並行して動かします。

墨田区の物件は、届出日と運営体制をセットで確認する

墨田区はスカイツリーや浅草寺に近く、宿泊需要の見込みやすいエリアです。ただし、需要の大きさだけで物件を決めると、営業できる曜日と管理体制の前提が後から変わります。判断の中心は、観光需要ではなく届出日・常駐・説明範囲です。

判断に迷う場合は、無料物件チェックをご利用ください。ご相談では、次の5点を整理してお伝えします。

  • その物件が2026年4月1日以後の新しい制限を受ける区分かどうか(届出日の適用区分)
  • 想定している常駐体制が、期間制限の例外として成立し得るか
  • 説明会または戸別訪問の対象範囲
  • 住宅宿泊事業と旅館業のどちらが物件条件に合うか
  • 建築・消防・廃棄物の相談をどの順で進めるか

お手元にご用意いただきたい情報は、物件の住所、平面図、すでに届出済みかどうか、管理者を常駐させる予定の場所、開業希望日、所有か賃貸かの契約関係です。契約前の段階でも、住所と図面だけで検討できることは多くあります。

なお、ご相談は許可の取得や収益を保証するものではありません。常駐体制を用意すれば必ず日曜日正午以降も営業できるとお約束するものでもありませんので、開業希望日には余裕を持たせてご検討ください。

(2026年8月27日更新:営業期間の記載を墨田区の公式資料に合わせて修正しました。)

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