「民泊を始めるにあたって保険への加入が必要だと聞いたが、具体的にどんな保険が必要で、入らないとどんなリスクがあるのか知りたい。」
民泊運営では、火災・ゲストのケガ・設備の破損など、さまざまなリスクが想定されます。保険への加入は法律上の義務ではありませんが、住宅宿泊事業法のガイドラインでも適切な保険加入が望ましいとされています。この記事では民泊に必要な損害賠償保険の種類と、加入しない場合のリスクを解説します。
民泊運営で想定される主なリスク
火災・ゲストのケガ・設備破損・近隣への延焼
民泊運営では、ゲストの不注意による火災、階段や浴室での転倒によるケガ、家具・家電の破損といった施設内のトラブルに加え、火災が近隣の建物に燃え広がる「延焼」のリスクも想定しておく必要があります。特に木造住宅が密集するエリアでは、延焼による損害賠償額が高額になる可能性があります。
一般の住宅用保険では民泊のリスクをカバーできない
個人用の火災保険は商業利用を想定していない
個人の居住を前提とした一般的な火災保険は、不特定多数の宿泊者を受け入れる商業利用を想定しておらず、民泊運営中に発生した事故は補償の対象外となるのが原則です。ゲストの過失による火災であっても、一般住宅用の火災保険では補償されないケースが多く、注意が必要です。
賃貸物件の場合は原状回復義務が重くのしかかる
賃貸物件で民泊を営む場合、ゲストの過失による火災であっても、借主であるホストが貸主に対して原状回復の義務を負います。入居者向けの一般的な賃貸保険は、あくまで入居者本人の生活を前提としたものであり、第三者である宿泊者を想定した補償は含まれていない点に留意してください。
保険に加入しない場合の具体的なリスク
死傷事故では賠償額が数千万円〜1億円を超えることもある
宿泊客の私物の汚損程度であれば損害賠償額は少額に収まりますが、転倒による骨折や、食中毒のような死傷事故に発展した場合、損害賠償額が数千万円から1億円を超えるケースも実際に報告されています。こうした高額な賠償責任を個人の資力だけで負うことは現実的ではなく、無保険での運営は事業継続そのものを揺るがすリスクになります。
民泊で備えるべき主な保険の種類
施設賠償責任保険を軸に、受託物賠償責任・民泊対応の火災保険を組み合わせる
施設の欠陥や管理不備によってゲストや第三者に損害を与えた場合に備える施設賠償責任保険を基本としつつ、ゲストの手荷物の破損・盗難に備える受託物賠償責任保険、そして民泊利用を前提とした火災保険(民泊特約付き)を組み合わせることで、主要なリスクをカバーできます。複数の保険を個別に契約するのが煩雑な場合は、これらをまとめた民泊専用の包括保険を選ぶ方法もあります。
まとめ
- 民泊運営では火災・ゲストのケガ・設備破損・近隣への延焼など多様なリスクが想定される
- 個人用の火災保険や賃貸入居者向け保険は商業利用を想定しておらず民泊事故は補償対象外となる
- 死傷事故の場合、賠償額が数千万円〜1億円を超えるケースもあり無保険は事業継続のリスクになる
- 施設賠償責任保険・受託物賠償責任保険・民泊対応の火災保険を組み合わせて備えることが基本
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監修者


渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。


