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旅館業の水回り設備は、「定員○人なら全国共通で○個」という単純な基準ではありません。国の基準に加え、自治体が便器数や洗面の給水栓数を定めている場合があります。
本記事では、トイレ、洗面、浴室・シャワーの数を決めるときに、何を確認すべきかを実務に沿って説明します。
結論:設備数は5つの条件を重ねて決める

- 旅館・ホテル営業か簡易宿所営業か
- 客室内に設備があるか、共同設備か
- 各階の配置と宿泊者の動線
- 合計定員と同時利用の見込み
- 自治体の条例・細則・個別運用
旅館業法施行令は、適当な規模の洗面設備・入浴設備と、適当な数の便所を求めています。具体数は自治体基準で補われることがあるため、図面を示して事前協議するのが安全です。
共同設備の表を一棟貸しへ機械的に当てはめない
自治体の手引には、客室内に便所や洗面設備を付設しない場合の「共同設備」の数が、定員別の表で示されることがあります。客室に設備がある施設と、廊下の共同設備を複数客室で使う施設では、見方が異なります。
一棟貸し・一グループ利用では、共同設備表をそのまま当てはめるのではなく、施設全体の利用形態、定員、同時利用の見込みを説明して協議する余地があります。ただし、緩和されることを保証するものではありません。
文京区と渋谷区でも確認方法が異なる
文京区の2026年4月更新の「旅館業のてびき」では、便所を各階に設けることや、客室内に便所・洗面設備がない場合の共同設備数が定員別に示されています。
渋谷区の2026年7月以降の現行案内・規則では、洗面設備を付設していない客室の合計定員を基準に共同洗面所の給水栓数を算定します。このように東京23区内でも確認項目が異なります。
トイレ・手洗設備で起きやすい判断の違い
ロータンク上部の手洗いを使えるか
トイレのロータンク上部にある給水口を手洗設備として認めるかは、自治体によって取扱いが異なることがあります。東京都の旅館業手引では、手洗設備として機能が十分ではないとの説明があります。別の手洗いを求められる可能性を見込んでください。
各階に必要か
便所を各階に求める自治体があります。上下階を宿泊者が使う一棟貸しでは、「建物内に1か所ある」だけで判断せず、階ごとの配置を確認します。
洗面設備は台所との共用を協議できる場合がある
独立した洗面台がない物件で、キッチンシンクと鏡を洗面設備として扱えるよう行政と協議し、認められた例があります。しかし、これは全国共通の扱いではありません。
衛生的に使用できるか、調理と洗面の利用が両立するか、設備の位置や数が定員に対して適切かを説明する必要があります。
浴室は「あるか」だけでなく定員に対する規模を見る
浴槽が必須とは限らず、シャワーで構成できる場合があります。一方、追いだき機能のある浴槽は循環式として衛生管理上の論点になることがあり、機能停止や配管対応を検討するケースもあります。
水回り工事前の確認手順
まとめ
旅館業のトイレ・洗面・浴室数は、国の基準だけでは確定しません。客室付設か共同か、階、定員、利用形態と自治体基準を重ね、工事前に図面で協議してください。
定員と客室面積の決め方は、次の記事で確認できます。
著者


行政書士 渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。

