お客様
行政書士
結論からいうと、学校等からおおむね100m以内でも、旅館業の許可が直ちに取れなくなるわけではありません。問題になるのは、旅館の設置によって学校等の「清純な施設環境」が著しく害されるおそれがあるかどうかです。
一方で、100m以内の対象施設があると、保健所等は教育委員会などの関係機関へ意見を求めます。自治体によっては運営方針、安全対策、資金計画等の追加資料が必要です。港区の公式手引のように、照会手続だけで約1〜2か月を見込む自治体もあります。
- 100m以内だけを理由に、自動的に不許可になる制度ではない
- 学校の「同意書」を申請者が取りに行く手続ではない
- 対象施設・必要資料・所要期間は、自治体と計画によって変わる
法令・自治体資料の確認基準日:2026年9月1日。個別の対象施設、距離、照会先、必要資料は管轄自治体へ確認してください。
学校から100m以内でも一律に不許可ではない
旅館業法第3条は、学校、幼保連携型認定こども園、児童福祉施設、条例で定める類似施設の敷地周囲おおむね100mの区域内で、清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると認められる場合を、許可しない事由としています。
したがって、「100m以内かどうか」は照会・審査が必要になる入口です。距離だけで結論が決まるのではなく、施設の用途、見通し、通学路、宿泊者の出入り、騒音・安全対策、管理体制等が確認されます。

学校等照会を「近隣住民の同意」や「学校長の許可」と同じものとして扱わないでください。法律上は、許可権者が所管機関へ意見を求める手続です。申請者が独断で学校へ訪問すると、行政の想定する照会経路とずれることがあります。
公開事例では学校から約70mでも了承されている
渋谷区教育委員会の2024年会議録には、小学校から約70mの旅館・ホテル営業について、保健所から意見を求められた事例が公開されています。
検討では、学校内部への見通し、通学路の安全、搬出入時の配慮、宿泊者ルール、10分程度での駆け付け、開設後の協議体制等が確認され、清純な施設環境が著しく害されるおそれはないとの回答が了承されました。
意味:100m以内でも、運営内容と安全対策を具体的に説明して審査されることが分かります。ただし、この事例と条件が似ていれば許可されるという保証ではありません。
民泊GOの支援事例では、小学校から約30mでも許可
2026年に民泊GOが支援した新宿区の案件では、旅館予定地が小学校から約30mの位置にありました。照会の結果、子どもの写真をみだりに撮影しないこと、学校周辺にたむろしないことなどを、注意書きとチェックイン時の説明に入れるよう求められました。
実際に施設内へ注意書きを掲示し、宿泊者への説明にも反映したうえで、最終的に許可を取得しました。
意味:学校までの距離だけではなく、学校側が懸念する行動を宿泊者ルールと運用に落とし込めるかが重要です。
民泊GOがこれまで支援した学校等照会の対象案件は、最終的にすべて許可に至っています。ただし、これは将来の許可を保証するものではなく、物件と運営計画ごとに個別審査が必要です。
学校等照会とは、行政が関係機関へ意見を求める手続
候補物件が対象施設からおおむね100m以内にある場合、保健所長等が教育委員会、児童福祉施設を所管する行政庁、条例で定めた関係者へ意見を求めます。申請者は、照会の判断に必要な事業計画や安全対策等を提出することがあります。
照会先の意見は重要ですが、単純な多数決や同意書の有無で判断するものではありません。最終的には、法令と条例に基づき許可権者が審査します。
照会が入ると審査期間が延びることがある
港区の公式手引は、教育関係機関への意見照会に約1〜2か月を要すると案内しています。民泊GOが2025年に支援した港区の約80㎡の旅館業案件でも、通常工程に学校等照会の約1か月を追加してスケジュールを組みました。
これは全国共通の固定期間ではありません。照会先、会議日程、追加質問、資料の完成度、行政の混雑状況で変わります。学校等が近い物件では、賃料発生や開業予定日を通常審査と同じ前提で決めないことが重要です。
23区内のある案件では、近隣の学校が夏休み期間で連絡がつかず、さらに他府県の本部を持つサテライト校だったため、照会書類が本部へ回されました。担当者の不在も重なり、照会回答まで約2か月半、申請審査全体で約3か月半かかりました。
通常の目安だけでなく、照会先の長期休暇、組織体制、会議日程による上振れも、契約と開業工程に見込んでください。
対象になるのは学校だけではない
法律上の対象には、大学を除く一定の学校、幼保連携型認定こども園、児童福祉施設が含まれます。さらに、自治体条例で各種学校、図書館、児童が利用する公園・スポーツ施設等が追加される場合があります。
東京都の条例では、一定の各種学校、図書館、児童が主に又は多数利用する施設のうち指定されたもの等が対象です。地図で「小学校」だけを検索しても、保育所、児童館、図書館、公園等を見落とす可能性があります。
対象施設と100mの調べ方は、次の記事で詳しく解説します。
住宅宿泊事業と旅館業では扱いが違う
| 制度 | 旅館業法の学校等照会 | 別に確認すること |
|---|---|---|
| 旅館業 | 対象施設のおおむね100m以内では、旅館業法に基づく意見照会の対象になり得る | 自治体条例、追加資料、審査期間 |
| 住宅宿泊事業 | 旅館業法第3条の照会は直接適用されない | 自治体の上乗せ条例で、学校周辺の営業日制限等が設けられる場合がある |
| 特区民泊 | 旅館業法第3条の照会とは別制度 | 特区の条例・認定基準、近隣周知、地域制限 |
「学校が近いから住宅宿泊事業に変える」という判断も、上乗せ条例や年間180日制限を無視してはできません。希望する営業日数と収支を含め、制度を比較します。
契約前に確認する順番
照会に備えて説明する内容
照会では、旅館の名称や客室数だけでなく、誰がどのように管理し、児童・施設利用者への影響をどう防ぐかが重要です。自治体や案件により、次のような内容を整理します。
- 施設用途、客室、定員、主な利用者
- 24時間の連絡・管理・駆け付け体制
- 騒音、ごみ、喫煙、宿泊者ルール
- 通学路、車両、搬出入、安全対策
- 学校等から客室内部への見通し対策
- 事業の継続性、運営方針、必要に応じた資金資料
新宿区で民泊GOが扱った案件では、疎明書に加えて年間の収支計画や融資返済計画まで求められました。これは全国一律の法定書類ではなく、個別案件の審査で求められた一次情報です。回答資料の詳細は次の記事で整理します。
まとめ|100m以内は即NGではないが、契約前確認が必要
学校等からおおむね100m以内という事実だけで、旅館業が一律に不許可になるわけではありません。ただし、対象施設の確認、行政による意見照会、運営・安全対策等の追加資料、審査期間を見込む必要があります。
「学校等が同意すれば許可される」という捉え方は正確ではありません。申請者が学校へ同意を取りに行くのではなく、行政の照会・審査に必要な資料を整えることが重要です。
参考にした公的一次情報
その物件で民泊できますか?
行政書士による無料物件診断で不安をゼロに
「自分の物件で民泊できるのか」
「この物件を買っても大丈夫なのか」
副業で始めたい方も、本格投資を検討している方も、最初の一歩は物件の診断から。
民泊GOなら、行政書士が最新の条例・建築基準法に基づきあなたの物件の営業可否をスピーディーに無料診断します。
最短当日回答!用途地域・上乗せ条例・建築基準法など、専門家があなたの代わりに徹底確認します。
完全無料!他社では有料の物件診断が、民泊GOなら無料。契約や申請の義務は一切ありません。
結果は丁寧にご説明!申請の可否と今後の進め方をミーティングでわかりやすくご説明します。
著者


行政書士 渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。


