民泊・旅館業の本人確認はテレビ電話でできる?非対面確認の手順

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テレビ電話で顔と本人確認書類を見れば、非対面でチェックインできますか?

お客様

行政書士

使える場合はあります。ただし、予約者、到着者、名簿、鍵の発行までを一つの流れとして確認できることが前提です。

テレビ電話やICT機器を本人確認に使える場合はありますが、画面に顔が映るだけで完了するわけではありません。

予約者、実際に到着した宿泊者、本人確認情報、宿泊者名簿、鍵を渡す相手が一致する流れが必要です。確認できない場合の分岐も、自治体へ説明できる状態にします。

端末を導入する前に、誰が、何を、どの順番で確認するかを決めてください。この記事では、旅館業と住宅宿泊事業を分けながら、非対面本人確認の運用を整理します。

結論|テレビ電話を使えるかは、本人確認の流れ全体で判断する

テレビ電話やICT機器を本人確認に使える場合はあります。ただし、使えるかどうかは機器の性能では決まりません。まず、次の4つで自案を点検します。

  • 遠隔でも顔と必要な確認情報を判別できる
  • 確認した結果が宿泊者名簿へ残る
  • 鍵は確認が完了した後に発行される
  • 確認できない場合の現地対応が決まっている

4つが揃うほど、自治体へ示す材料は整います。欠けている項目は、追加の説明や資料を求められやすい箇所です。ただし4つが揃っていること自体が、許可や適法性を保証するわけではありません。最終的な取扱いは、施設所在地の自治体へ確認する必要があります。

そのうえで、確認すべき事項は次の3つによって変わります。

制度

旅館・ホテル営業、簡易宿所営業、住宅宿泊事業、特区民泊は別の制度です。本人確認と宿泊者名簿に関する根拠も、確認する相手も異なります。他制度向けの解説をそのまま自分の計画に当てはめないことが出発点です。

旅館業では、2025年4月にICTを活用した本人確認の方法が追加され、2026年1月20日改正後の衛生等管理要領にも引き継がれています。これは確認手段が整理・追加されたものであり、完全無人化が全面的に解禁されたという意味ではありません。住宅宿泊事業では、住宅宿泊事業法の枠組みで本人確認と宿泊者名簿を検討します。

自社の営業種別では、そもそも受付の考え方がどう変わるのか。ここが曖昧だと本人確認の設計も決まりません。制度別の判断軸は、玄関帳場を扱った記事で整理しています。

営業種別による違いは玄関帳場の制度別解説で確認できます。

自治体

旅館業では、国の法令と衛生等管理要領を踏まえつつ、実際の審査は施設所在地の自治体の条例、審査基準、要綱と窓口の運用によって進みます。同じ機器構成でも、求められる説明の細かさは地域によって異なる可能性があります。

採用する方法

遠隔の担当者がリアルタイムで対応する方法と、端末側の機能で自動的に処理する方法では、確認できる範囲も、想定すべき例外も異なります。「テレビ電話を使う」という一言では、運用の実態は伝わりません。

チェックイン時に照合する4つの情報

チェックイン時に照合するのは、次の4つです。どれか一つでも切れていると、機器が正常に動いていても運用として説明できません。

なお、確認すべき情報の範囲と宿泊者名簿の記載事項は、営業種別ごとに根拠となる規定が異なります。本記事では項目を列挙せず、営業種別を確定したうえで施設所在地の自治体へ確認する項目として扱います。

1. 予約情報:誰の名義で、いつから何泊、何名の予約が入っているか。人数と宿泊日は、後の同行者確認と直結します。

2. 到着した本人と本人確認情報:実際に施設へ来た人が誰かを確認します。日本国内に住所を有しない外国人宿泊者については、旅券(パスポート)の取扱いが別の確認事項として残ります。日本国内に住所がある宿泊者と同じ扱いではないため、自社が想定する宿泊者層を整理したうえで、自治体へ質問する項目に含めます。

旅券の提示、旅券番号の記載、写しの保存を含む具体的な手順は、次の記事で整理しています。

3. 宿泊者名簿:確認した情報を、営業種別ごとの記載事項に沿って記録します。名簿は事後に行政から確認を求められる資料であり、チェックイン運用の中で確実に埋まる設計にします。

宿泊者名簿の制度別項目と保存方法は、次の記事で詳しく確認できます。

4. 鍵・入室権限を渡す相手:暗証番号、スマートロックの権限、キーボックスの開錠情報などを、誰に、いつ渡すか。ここが1〜3と切り離されていないかは、後述の鍵の運用で詳しく扱います。

順序としては、予約情報を起点に、到着者と本人確認情報を突き合わせ、その結果を名簿へ記録し、最後に鍵を渡す、という一方向の流れが基本です。逆流や並行処理を許す設計にすると、どの時点で確認が完了したのかを説明できなくなります。

チェックイン時に照合する予約情報、到着者、宿泊者名簿、鍵・入室権限の4点
チェックイン時に照合する予約情報、到着者、宿泊者名簿、鍵・入室権限の4点

テレビ電話・カメラで確認できる状態を作る

設置位置を確定する前に、「どこで、どの場面を、どの画で確認するのか」を決めます。ここが曖昧なまま製品を選ぶと、設置後に画角や設置位置を変えることになります。

設置場所と利用場面

施設の入口やチェックインスペースに端末を置く方法と、到着時に宿泊者の端末で通話する方法では、確認できる範囲が変わります。施設側に固定した端末があれば、入口周辺の状況や同行者を含めて確認しやすくなります。どの方法を採用できるかは、制度と自治体への確認事項です。

宿泊施設の入口で、宿泊者がテレビ電話を使って本人確認を受けるイメージ
テレビ電話を使う場合も、顔・必要な本人確認情報・到着者の状況を確認できる環境が必要です(イメージ)。

また、宿泊者本人のスマートフォンだけで足りると一般化することはできません。施設側にどの端末やカメラを、どこに、どのように用意するかは、制度と自治体の確認事項として残ります。

画角・環境と映る範囲

画角と画質:確認したいのは、顔、必要な本人確認書類、そして入口周辺と同行者の有無です。顔だけが大きく映る画角では、後ろに何人いるかが分かりません。書類の文字が判読できる解像度と、複数人を収められる引きの画を、両方確保できるかを設置前に試します。

環境条件:夜間の照明、入口の逆光、屋外や共用部の騒音、通信品質は、実際の到着時間帯に確かめます。日中に問題がなくても、深夜のチェックインで顔が判別できない、音声が聞き取れないという状態は起こり得ます。通信については、回線が一時的に不安定になる前提で、後述の分岐を用意します。

宿泊者以外の入館の把握:ここで決めるのは、確認の手段です。チェックイン時に映る範囲で人数を数えられるか、入館する人が画角に入るかを確かめます。実際に人数が違った場合の扱いは、次のセクションの分岐で決めます。

記録と個人情報の扱い

確認の記録をどの形で残すか(記録項目、保存場所、保存期間、アクセスできる担当者)を先に決めます。録画や画像の保存を行う場合は、取得目的の明示、保管方法、第三者提供や委託先の範囲を整理します。カメラの設置と映像の取扱いについては、個人情報保護の観点から自社で方針を決めたうえで、制度上求められる記録との関係を確認します。

遠隔有人と自動処理の違い

遠隔の担当者がリアルタイムで対応する方法なら、映像が不鮮明なときの撮り直し依頼や、同行者が増えたときの聞き取りを、その場で判断できます。端末側の機能で自動的に処理する方法では、想定した手順から外れた場面をどこまで事前に組み込めるかが問われます。前者では担当者と交代要員の体制、後者では例外時に人へつなぐ経路が、それぞれ説明の対象になります。

どの機能をどの機器で満たすか、代替設備として何を満たす必要があるかは、カメラ・通話・鍵を含む機器側の記事にまとめています。

機器側の確認項目は玄関帳場の代替設備に必要な6機能で整理しています。

遠隔有人確認と自動確認の比較
遠隔有人確認と自動確認の比較

本人確認できない場合の分岐を決める

運用が止まるのは、正常な流れではなく例外が起きたときです。行政への説明でも、例外時にどう動くかを問われます。

テレビ電話で確認できない宿泊者を遠隔担当者と現地担当者が支援するイラスト
本人確認が完了しない場合は、遠隔での再確認や現地対応へ切り替える手順を用意します。

そこで、起こり得る場面ごとに、自社の運用として何を選ぶかを決め、文章として書き残します。

起こり得る場面 書き残す内容(手順・判断者・切替条件)
通信障害・機器不調(通話がつながらない、画面が固まる、端末が起動しない) 代替の連絡手段/再試行の回数と待ち時間/現地対応へ切り替える条件。担当者がそのまま読める手順の形にする
画像が不鮮明で確認できない(暗さ、逆光、カメラの汚れ、書類のかざし方) 撮り直しを依頼する手順/それでも判別できない場合の扱いと、次の動作
予約情報と提示された情報が一致しない 確認で解消できる範囲(氏名の表記ゆれなど)と、別人の可能性として扱う範囲の線引き
予約者と到着者が違う(代表者が後から合流する、法人名義の予約で宿泊者が別人) 確認の対象(予約者、実際の宿泊者、その両方のいずれか)
予約人数より多い人数が到着した 人数の変更を受け付けるかどうか/受け付ける場合の承認者/名簿へ反映する時点
宿泊しない人が入館しようとする 立入りを認めるかどうか/認める場合の承認者/記録の残し方

右の欄が埋まらない項目は、そのまま自治体への相談で確認する候補になります。

そのうえで、宿泊させるか否かを誰が判断するのかを決めます。現場の担当者が単独で判断できる範囲と、責任者へ上げる範囲を分けます。判断した内容、時刻、対応者、その後の処理を記録する様式も用意します。

画面越しでは判断できない、鍵が開かない、宿泊者以外の立入りが疑われるといった場面では、最終的に人が現地へ向かう対応が残ります。誰が、どこから、どの時間帯に向かうのかは、本人確認の設計と一体で検討します。

遠隔で完結しない場面に誰がどこから向かうかは、本人確認不能時の現地対応を扱った記事で、体制の側から整理しています。

現地対応を担う人と到着時間は駆け付け要件・委託先の選び方で詳しく扱っています。

本人確認できない場合の分岐と鍵を発行しない仕組み
本人確認できない場合の分岐と鍵を発行しない仕組み

鍵は本人確認が終わる前に渡さない運用にする

鍵の受け渡しは、製品の比較よりも先に、発行と通知のタイミングを決める話として扱います。暗証番号、スマートロックの権限、キーボックスのいずれを使う場合でも、論点は同じです。

まず問題になるのは、発行のタイミングです。予約確定時に自動送信する設定にしていると、本人確認の前に入室できる状態が生まれます。本人確認が完了した時点で発行・通知する流れにできるかを、運用と設定の両面で確認します。

確認できなかった場合に止める手段も必要です。発行を保留する、発行済みの権限を無効化する、暗証番号を変更するといった操作を、誰が行えるのか。夜間も操作できるのかまで決めておきます。

見落とされやすいのは、その後の場面です。宿泊者が情報を失った場合の再発行手順と、その際に改めて何を確認するかを決めます。再発行で本人確認が省略されると、入口の確認を厳密にした意味が薄れます。

暗証番号やリンクが第三者へ共有される可能性も想定しておきます。宿泊ごとの更新、有効期限の設定、退室後の無効化を、運用ルールとして書き出します。発行と停止の条件は、機器を選ぶ前に決めます。条件が決まっていれば、設定変更では対応できない仕様を選ぶ事態を避けられます。

カメラは付いていたが、帽子で顔が映らず設置し直した事例

Pick up事例

当事務所が関わった案件で、防犯カメラを天井近くへ設置していたところ、映像が斜め上からの画角になり、帽子をかぶった入室者の顔が映らないと指摘されたことがあります。

カメラ自体は正常に動いていましたが、本人を確認する目的を満たす位置ではありませんでした。少し低い位置へ付け直し、宿泊者が実際に立つ場所で顔が映ることを確認しました。

機器の仕様書だけでなく、昼・夜・帽子・逆光を想定した実写映像を、行政相談・検査前に確認してください。


機器を発注する前に、予約・本人・名簿・鍵の流れを確認しませんか

チェックイン案の段階でご相談いただければ、流れのどこが未確定かを整理できます(詳しい進め方は記事末をご覧ください)。


行政相談で示す資料と導入前チェックリスト

ここからは、決めた内容を外へ出す段階です。用意するものは二種類あります。第三者へ示す成果物としての資料と、未確定の箇所を自社で洗い出す確認表です。役割が違うため、分けて作ります。

事前相談・現地検査で示す資料

事前相談や現地検査では、「テレビ電話で本人確認します」という説明だけでは足りません。本人確認について、次の三つを示すと確認事項が具体的になります。

本人確認フロー:到着から入室までを時系列で1枚にまとめます。誰が、どの端末で、何を確認し、どこへ記録するかを、通常時と例外時に分けて示します。

画面・端末・カメラの位置:図面上に、端末とカメラの設置場所、想定する画角、宿泊者が立つ位置を記載します。実際の画面イメージがあれば、確認できる範囲が伝わりやすくなります。

例外時の判断と現地対応:前述の分岐、判断者、記録の様式を、そのまま資料の形にします。遠隔対応と現地対応の切替条件を明記しておくと、説明が一貫します。

予約・名簿・鍵の連携、担当者、受付時間、委託範囲を含む相談資料一式は、無人チェックインの運営設計で扱っています。本記事では本人確認固有の資料に絞ります。

自治体によって、求められる資料の粒度や様式は異なる可能性があります。仮案を持ち込み、「この方法で考えていますが、確認が必要な点はどこですか」という形で相談すると、回答も具体的になります。確認した部署、日付、示した前提条件は記録に残します。

同じ営業種別でも、自治体ごとに確認事項は変わります。その違いが実際にどう表れるかは、新宿区を例に取り上げた記事が参考になります。

自治体差の具体例は新宿区の玄関帳場・常駐要件で確認できます。

導入前に埋める確認表

埋める時期は、端末やシステムの構成を確定する前と、行政相談の前です。項目ごとに、どこへ確認するのかを対応させます。この段階で空欄が残ること自体は問題ではありません。どこが未確認かを把握することが目的です。

確認項目 確認の内容 主な確認先
誰を確認するか 予約者、到着者、同行者の扱い 自社(必要に応じて専門家)
いつ確認するか 到着時、事前、入室前のどこか 自社
どの情報で確認するか 必要な本人確認情報と名簿記載事項 保健所・届出先自治体
確認担当者 対応する担当者と権限 自社・委託先
交代要員 夜間、休暇、同時発生時の要員 自社・委託先
通信・端末障害時の代替 再試行、代替手段、現地対応への切替 自社・委託先
鍵の発行 発行のタイミングと通知方法 自社・機器提供者
鍵の停止 保留、無効化、再発行、退室後の処理 自社・機器提供者
記録 記録項目、保存方法、保存期間、アクセス範囲 自社
自治体への質問 採用予定の方法で確認が必要な点 保健所・届出先自治体

自治体へ確認する質問は、「テレビ電話は使えますか」ではなく、自社の仮案を前提にした形にします。営業種別、施設の構造、端末の設置場所、対応する担当者と時間帯を示したうえで、追加で必要な確認事項を尋ねると、回答を計画へ反映しやすくなります。

表の確認先は、性質で使い分けます。鍵の発行タイミングを変更できるか、権限を即時に停止できるか、記録をどの形式で出力できるか。これらは機器・システム提供者へ聞く項目です。

適用される制度の整理、事前相談の進め方、申請・届出資料の構成といった切り分けは、行政書士へ相談する範囲です。

聞く時期は、物件の契約前、端末やシステムの発注前、運営委託先の決定前です。この順で押さえておくと、決めた後の選び直しを避けられます。

まとめ|テレビ電話が使えるかは、機器ではなく確認の流れで決まる

テレビ電話やICT機器を本人確認に使える場合はありますが、機器があるだけでは足りません。顔と必要な情報を判別できる画角、確認結果を宿泊者名簿へ残す仕組み、本人確認後に鍵を発行する順序、確認できない場合に現地対応へ切り替える条件を一つの流れにします。

採用できる方法は営業制度と自治体の取扱いで変わります。自社の仮案を作り、端末・システムを発注する前に施設所在地の窓口へ確認してください。


本人確認と鍵の運用まで含めて、物件と計画を確認する

端末やシステムを発注する前なら、構成はまだ選び直せます。図面と仮案の段階で見れば、設置位置や鍵の発行タイミングも変更できます。

相談では、自社で決める仮案と、自治体へ確認する質問を切り分け、確認論点の一覧として整理します。

相談で整理できること

  • 営業種別に応じた本人確認と宿泊者名簿の確認事項
  • 予約、本人確認、名簿、鍵をつなぐチェックインフロー案
  • 確認できない場合の分岐と、現地対応が必要になる場面
  • 端末・カメラの設置位置と、行政へ示す資料の構成
  • 自治体の事前相談で聞く質問の一覧

お手元にあれば確認がスムーズになる資料

  • 物件の住所
  • 想定している営業種別
  • 販売図面または建築図面
  • 候補としている端末・システム
  • 予約、宿泊者名簿、鍵の運用案(メモで可)

なお、相談は論点の整理までを範囲とし、許可の可否や自治体の判断を保証するものではありません。


参考にした国の一次情報

(2026年8月26日確認。自治体の条例・審査基準・要綱は、施設所在地ごとに別途確認が必要です。)

4 COMMENTS

民泊・旅館業の無人チェックインは可能?2025年改正後の本人確認・鍵・運営体制 | 民泊GO|行政書士の民泊許可(公式サイト)

[…] なお、旅館業では2025年4月にICTを活用した本人確認の方法が追加され、本人確認の手段は増えています。2026年1月20日改正後の厚生労働省「旅館業における衛生等管理要領」にも、この取扱いは引き継がれています。ただし、これは手段の追加であり、無人化が一律に解禁されたという意味ではありません。設備、本人確認の方法、人の対応は、それぞれ別に確認します。確認方法ごとの手順と記録の残し方は、テレビ電話・ICTによる本人確認で扱っています。 […]

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