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行政書士
駆けつけ担当者は「近くに住む人を一人見つければ終わり」ではありません。自治体が求める人数、時間、勤務シフト、現地業務を確認し、その条件を満たす候補者と業務委託契約を結びます。
- 先に自治体へ、必要人数と勤務体制を確認する
- 知人以外の候補も含めて、複数ルートで探す
- 契約書・シフト表・経路図まで作って行政へ説明する
担当者の確保が遅れると、申請そのものを始められません。この記事で後述する港区の弊所案件では、確保に約2か月かかり、審査期間を含む空家賃が100万円を超えました。
結論|近い人を一人決めるだけでは足りない
担当者を探す前に、次の条件を自治体へ確認します。
- 必要人数と交代要員
- 24時間をどのような勤務シフトで埋めるか
- 待機拠点から施設内の対応場所までの時間
- 徒歩、自転車、車等の移動手段
- 鍵、リネン交換、設備確認、騒音対応等の必要業務
- 提出する契約書、名簿、シフト表、経路図
新宿区の2026年夏以降の弊所案件では4人、港区の弊所案件では最低3人を求められました。一方、一人で認められた自治体の案件もあります。人数を自己判断すると、候補者を集め直すことになります。
時間・距離・人数の基本は代表記事で確認できます。
駆けつけ担当者を探す7つの方法
自分または自社の従業員
物件の近くに居住・勤務しており、夜間を含めて対応できる場合は有力です。指示と報告を自社内で完結できますが、休暇、病欠、複数物件の同時トラブルを補う要員が必要です。
近隣に住む知人
信頼関係があり、鍵を預けやすい利点があります。一方、善意だけに頼ると、深夜対応や継続性について認識がずれます。対応業務、報酬、時間、秘密保持、契約終了時の鍵返却を業務委託契約書に記載します。
近隣住民
周辺に住む人へ有償で依頼する方法です。運営代行会社や地域のつながりから紹介してもらう場合があります。生活圏が近いため到着しやすい一方、宿泊者対応や個人情報の取扱いについて研修が必要です。
近隣の店舗・事業者
24時間営業の店舗等と契約する方法です。弊所が扱った一部の自治体案件では認められました。ただし、夜間に一人しか勤務していない場合、その人が店舗を離れられません。常に複数名が勤務し、一人が出動できるかを確認します。
地域掲示板・募集サービス
地域掲示板等で近隣の候補者を募集する方法です。距離だけで決めず、本人確認、継続性、深夜対応、鍵の管理、秘密保持、研修への参加を確認します。応募者をそのまま行政へ提出せず、契約と体制を整えます。
運営代行会社
清掃、宿泊者対応、苦情受付等と一体で任せられる可能性があります。駆けつけ担当者の確保まで含む会社もありますが、契約書の業務範囲に含まれているかを確認します。
駆けつけ代行会社
現地対応を専門に提供する会社です。対応地域、待機拠点、出動時間、必要人数、現地で行える業務、行政資料への協力を比較します。月額料金だけでは判断できません。
民泊GOの申請支援では、候補者個人を直接紹介するサービスは行っていません。探し方の提案、代行会社の紹介・比較、契約内容、体制図、申請資料、行政協議は申請プラン内で対応できます。
代行会社と契約する場合の比較項目は、次の記事で詳しく解説しています。
候補者へ最初に説明する業務内容
「何かあったら行ってください」では、依頼を受ける側も判断できません。次の業務を、行うものと行わないものに分けて説明します。
| 場面 | 想定する対応 | 事前に決めること |
|---|---|---|
| 鍵の不具合 | 予備鍵、解錠確認、業者連絡 | 鍵の保管・持出し |
| 騒音・近隣苦情 | 現地確認、宿泊者への注意、報告 | 注意方法、退去判断者 |
| リネン・室内設備 | 交換、補充、故障確認 | 備品場所、作業範囲 |
| 急病・事故 | 119番等、状況確認、運営者連絡 | 通報と現地対応の順序 |
| 不審者・無断侵入 | 安全確認、警察連絡 | 担当者が無理に対処しない基準 |
自治体が求める業務は案件によって異なります。警備会社の緊急出動があっても、リネン交換や施設管理まで必要な案件では、別の担当者が必要になることがあります。
業務委託契約と勤務シフトを整える
弊所が扱った個別案件では、自分、知人、近隣住民、近隣店舗、地域募集、代行会社のいずれも、業務委託契約と運営体制を整えることで認められた例があります。ただし、同じ方法がすべての自治体・案件で認められるとは限りません。
業務委託契約書へ入れる項目
- 対応する施設と待機拠点
- 対応時間と勤務シフト
- 出動条件と現地で行う業務
- 鍵、個人情報、宿泊者情報の管理
- 報告方法と記録の保存
- 報酬、交通費、追加出動費
- 再委託、交代、契約解除、鍵返却
勤務シフト表は24時間の空白をなくす
新宿区の弊所案件では、一人8時間を基準に24時間を埋める勤務シフト表を提出し、業務委託であっても一日8時間・週40時間を前提とする体制説明を求められました。これはすべての自治体に共通する基準ではありません。
この取扱いは、業務委託の担当者に労働基準法が一律に直接適用されるという趣旨ではありません。24時間対応の実効性を行政へ説明するため、当時の弊所案件で求められた勤務体制です。
行政へ示す経路図・体制図・名簿
- 担当者名簿:氏名、連絡先、待機場所、役割
- 勤務シフト表:24時間の担当者と交代時間
- 経路図:Googleマップ等による待機拠点から施設までの経路
- 体制図:連絡受付、出動判断、現地対応、報告の流れ
- 業務委託契約書:現地業務と責任範囲
- 対応マニュアル:事故、騒音、鍵、設備等の対応手順
経路図は、Googleマップ上の時間だけでなく、実際の待機拠点、入館経路、移動手段と一致させます。自治体による測定方法の違いは、代表記事で詳しく解説しています。
Pick up ケース|担当者確保に2か月かかった港区案件
港区の自己所有戸建てで旅館業を計画した案件です。港区から、最低3人で24時間いつでも対応できる駆けつけ体制を求められました。
知人では必要人数を確保できず、条件に合う代行会社も見つかりませんでした。この案件で検討した警備会社は緊急出動には対応できましたが、リネン交換等の現地業務を契約に含まなかったため、この案件の駆けつけ体制としては認められませんでした。
最終的に運営代行会社が近隣住民へ依頼し、担当者を確保しました。確保まで約2か月遅れ、その間の空家賃は50万円強。以後の審査期間も含めると、開業までの空家賃は100万円強になりました。
この事例の教訓は、物件を所有していても、設備が完成していても、運営体制が決まらなければ申請と開業が進まないことです。担当者の確保は、内装工事や設備発注と並行して始めます。
担当者が見つからないときの優先順位
まとめ|物件契約と同時に担当者探しを始める
- 駆けつけ担当者は、知人以外にも近隣住民・店舗・運営会社・代行会社等から探せる
- 候補者の近さだけでなく、必要人数、24時間シフト、現地業務を確認する
- 業務委託契約書、名簿、シフト表、経路図、体制図を整える
- 担当者確保に時間がかかると申請と開業が遅れる。港区の弊所案件では確保に約2か月かかった
参考にした公的一次情報
著者


行政書士 渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。

