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新宿区では、同じ建物に住んでいるという理由だけで「家主居住型」と決めることはできません。新宿区は宿泊者の受け入れ体制を3種類に整理していますが、届出住宅と生活の本拠の位置、居室数、騒音などを認識できる状況を確認します。
2026年8月の新宿区への個別相談では、同一建物内でも上下左右に直接隣接する住戸だけを家主居住型とし、廊下を挟む向かいの住戸は家主不在・管理委託型とする回答を受けた例があります。これは個別案件の条件に基づく回答であり、新宿区の現行公式ルールや全国共通要件として断定できるものではありません。
最初に押さえるポイントは、次の3点です。
- 新宿区独自の3分類と、住宅宿泊事業法上の管理委託要否を分けて確認します
- 「同じ建物」という言葉だけで判断せず、住戸位置と管理可能性を図面で示します
- 新宿区で家主居住型でも、消防上の家主居住扱いは別に確認します
新宿区は宿泊者の受け入れ体制を3種類に分けている
新宿区の住宅宿泊事業ルールブックでは、宿泊者の受け入れ体制を「家主同居型」「家主居住型」「家主不在・管理委託型」に分けています。まず、この3分類のどこに近いかを確認したうえで、全国共通の管理委託義務と消防上の扱いを別に確認します。
公式ルールブックでは、家主同居型と家主居住型はいずれも住宅宿泊事業者が個人であることを前提としています。法人が届出者となる場合は、従業員や役員の居住だけでこの2類型に当てはめず、登録住宅宿泊管理業者への委託又は自社が登録管理業者として管理する設計を別に確認します。
全国共通の法律用語ではなく、新宿区独自の整理
「家主同居型」「家主居住型」「家主不在・管理委託型」は、新宿区が手続を案内するために使っている整理です。住宅宿泊事業法で全国一律に同じ3分類が定義されているわけではありません。
新宿区ルールブック上の類型、住宅宿泊事業法上の管理委託、消防法令上の家主居住判定は、それぞれ確認先と判断基準が異なります。一つの類型名だけで、すべての結論を出さないようにします。
家主同居型・家主居住型・家主不在・管理委託型の比較
| 新宿区の類型 | 生活の本拠 | 届出住宅内 | 管理委託 | 主な確認 |
|---|---|---|---|---|
| 家主同居型 | 届出住宅内 | 宿泊中も届出者が在宅 | 在不在等を確認 | 居住実態、区画、外出 |
| 家主居住型 | 同一建物・敷地・隣接地等 | 届出住宅内には居住しない | 例外条件を確認 | 位置関係、5室以下、認識可能性 |
| 家主不在・管理委託型 | 上記以外 | 届出者が不在 | 登録管理業者へ委託 | 全部委託、対応拠点、消防 |
表は新宿区の考え方を理解するための要約です。建物構造、住戸の独立性、運営する居室数、宿泊中の在宅状況により結論は変わるため、公式ルールブックと個別相談で確認してください。
全国共通の家主居住型・家主不在型の考え方と、「住宅要件・在不在・管理委託・消防」を分ける方法は、次の記事で詳しく解説しています。
家主同居型|届出住宅内に住宅宿泊事業者本人が住む
家主同居型では、住宅宿泊事業者本人の生活の本拠が届出住宅内にあり、宿泊者の滞在中も、一時的な外出を除いて不在とならない運営を前提にします。
生活の本拠と住民票上の住所を確認する
新宿区の手続では、住民票上の住所と生活の本拠を確認します。ただし、住民票を移しただけで実態が伴わなければ、家主同居型の運営になったとはいえません。
生活用品、日常の滞在、宿泊中の在宅予定など、実際にそこで生活していることを説明できる状態にします。届出書類と予約サイトの表示、現場の使い方も一致させます。
宿泊中は一時的な外出以外で不在とならない
日用品の買い物など、通常の生活上必要な短時間の外出は「一時的な不在」として扱われる余地があります。一方、勤務、旅行、帰省など継続的な外出を、家主同居型のまま行うことはできません。
外出できる時間を一律の数字だけで判断せず、外出理由、地域事情、宿泊者の滞在状況を含めて確認します。
届出者の生活部分と宿泊者の部分を適切に区画する
同じ住宅内に届出者と宿泊者が滞在するため、宿泊室、宿泊者が使う部分、届出者の私的部分、共用部分を平面図上で分けます。鍵、扉、表示等の具体的な方法は、間取りと新宿区の確認に合わせて決めます。
家主居住型|同一建物・敷地・隣接地から自主管理する
新宿区の家主居住型は、届出住宅内で住宅宿泊事業者が宿泊者と同居する類型ではありません。生活の本拠が同じ建物、同じ敷地又は隣接地等にあり、届出住宅の生活環境の悪化を認識できることなどを確認します。
新宿区ルールブック第6版13頁の公式要件
新宿区住宅宿泊事業ルールブック第6版は、家主居住型について、住宅宿泊事業者の生活の本拠と届出住宅の位置関係、騒音等を認識できる状況、管理する居室数などを示しています。
公式文言に「同一の建物内」と書かれていても、具体的な住戸配置まで本文だけで判断できるとは限りません。相談時は、建物名や住所だけでなく、各階平面図と住戸位置図を提出します。
居室5室以下と、騒音等を認識できる状況を確認する
自主管理する居室数が5室を超える場合は、家主居住型として管理委託を省略する前提を見直す必要があります。ここでいう「居室」は宿泊者が占有する部分であり、就寝に使う「宿泊室」とは区別します。また、騒音、宿泊者の出入り、ごみなど、生活環境への影響をすぐ認識できる位置・体制であることが必要です。
単純な直線距離だけではなく、壁、廊下、階段、入口、別棟、敷地境界などを含めて確認します。
家主同居型とは異なり、届出住宅内には住んでいない
家主居住型に当たる場合でも、届出住宅内で宿泊者と同居しているわけではありません。この違いは、消防上の家主居住判定や設備計画に影響することがあります。
同じ建物でも家主居住型と認められない場合がある
「同じマンションに住んでいるから大丈夫」と考えると、管理委託の見積や届出準備をやり直すことがあります。新宿区では、住戸の具体的な位置関係まで示して確認することが重要です。
個別相談例|2026年8月は上下左右の直接隣接が線引きとして示された
民泊GOが2026年8月に新宿区へ相談した個別案件では、同一建物内でも、生活の本拠が届出住宅の上下左右に直接隣接する住戸にある場合だけを「家主居住型」として扱うとの回答を受けました。
この線引きは、ルールブックの「同一の建物内」という文言だけからは読み取れません。個別案件の建物構造、住戸位置、騒音等を認識できる状況を踏まえた回答です。
同じ個別相談では、廊下向かいは家主不在・管理委託型と回答された
同じ個別相談では、届出住宅と生活の本拠が同じフロアにあっても、共用廊下を挟んだ向かい側の住戸は直接隣接せず、「家主不在・管理委託型」として扱うとの回答でした。
「上下左右に直接隣接する住戸だけ」という取扱いは、新宿区の個別案件で受けた回答です。新宿区の現行公式ルール又は全国共通要件とは断定できません。公開時点の運用を、平面図・住戸位置図とともに新宿区へ確認してください。

公式文言だけで決めず、平面図・住戸位置図で新宿区へ確認する
相談資料には、届出候補住戸、生活の本拠となる住戸、共用廊下、階段、エレベーター、建物入口を表示します。上下階の場合は、同じ位置関係が分かる各階平面図も用意します。
家主不在・管理委託型|登録管理業者への委託を確認する
新宿区の家主同居型・家主居住型のいずれにも当たらず、宿泊者の滞在中に住宅宿泊事業者が不在となる場合は、登録住宅宿泊管理業者への委託を確認します。
家主同居型・家主居住型のいずれにも当たらない場合
別の地域に住む場合、同一建物内でも管理可能性が認められない場合、管理する宿泊室が5室を超える場合などは、管理委託を前提に計画します。
法定管理業務は一つの登録管理業者へ全部委託する
住宅宿泊管理業務には、宿泊者の衛生・安全の確保、外国人宿泊者への説明、苦情対応などが含まれます。複数の業者へ法定管理業務を分割して委託するのではなく、一つの登録管理業者へ全部委託することが基本です。
清掃・駆けつけ作業だけの委託と法定管理を混同しない
清掃、リネン交換、鍵の受け渡し、夜間の駆けつけだけを依頼しても、法定管理の全部委託を終えたことにはなりません。契約先が登録住宅宿泊管理業者であるか、委託契約が届出住宅と管理業務全体を対象にしているかを確認します。
管理業者への委託が必要になる条件と例外は、次の記事で詳しく解説しています。
新宿区の分類と消防上の家主居住判定は別
新宿区で「家主居住型」と整理され、住宅宿泊管理業者への委託を省略できる場合でも、消防上まで家主居住の住宅と扱われるとは限りません。
新宿区で家主居住型でも、消防上は届出住戸内の居住ではない場合がある
管理委託の判断では、同一建物・同一敷地・隣接地から騒音等を認識できるかが問題になります。一方、消防では、届出住宅内に住宅宿泊事業者が居住しているか、宿泊室面積、建物用途などを別に確認します。
隣室居住でも全館へ有線式自火報を設置した新宿区の実務事例
新宿区の別の住宅宿泊事業案件では、4階建て・約20住戸の共同住宅で、事業者が届出住戸の隣室に住んでいました。住宅宿泊事業の管理上は近い位置にいても、消防上は届出住戸内に家主が居住する扱いにならず、最終的に建物全体へ有線式自動火災報知設備を設置しました。費用は400万円を超えました。
これは当該建物・設備計画に関する個別事例です。新宿区の隣室居住で必ず全館工事になるという意味ではありません。同じ位置関係でも、建物構造、既存設備、宿泊室面積等によって必要設備は変わります。
事前相談記録書があっても、住戸・棟の用途と設備を最終確認する
この事例では、消防側の当初判断に基づく事前相談記録書を取得していましたが、届出手続の最終段階で消防の判断が訂正されました。行政への批判ではなく、住戸・居住位置・建物用途の前提を相談記録に残し、最終判断前に契約や設備発注を固定しないことが再発防止になります。
家主居住型と消防設備の関係、宿泊室50㎡以下の判断は、次の記事で詳しく確認できます。
届出前に確認する順番
新宿区の分類、管理委託、消防を同時に決めようとせず、次の順番で確認します。
住戸配置、建物構造、営業区域、管理体制によって、追加資料や協議先が変わります。契約日や開業日を確定する前に、個別のスケジュールを確認してください。
新宿区の届出手順と必要書類は、次の記事で順番に確認できます。
新宿区でよくある質問
上下階や隣室なら必ず家主居住型ですか?
必ずとはいえません。2026年8月の個別相談では直接隣接が一つの線引きとして示されましたが、居室数、騒音等を認識できる状況、宿泊中の管理体制も確認されます。現在の運用を図面で確認してください。
廊下を挟んだ向かいの部屋は対象ですか?
2026年8月の個別案件では、廊下を挟む住戸は家主居住型と認められず、家主不在・管理委託型との回答でした。ただし、これは個別相談例であり、すべての建物に共通する公式要件としては扱いません。
同一敷地の別棟でも家主居住型になりますか?
新宿区ルールブックと全国共通の管理委託例外には、同一敷地・隣接地に関する考え方があります。ただし、別棟から騒音や出入りを認識できるか、宿泊中に対応できるかを、配置図と現地条件から確認します。
家主居住型なら消防設備も住宅扱いになりますか?
同じとは限りません。新宿区の家主居住型は管理体制の分類であり、消防上の家主居住判定とは別です。届出住戸内の居住、宿泊室面積、建物用途、既存設備を所轄消防署へ示します。
途中で生活の本拠となる部屋を変える場合はどうしますか?
住戸位置が変わると、新宿区の類型、管理委託要否、消防上の前提が変わる可能性があります。転居前に新宿区と消防署へ相談し、変更届等の要否を確認してください。
公式一次情報
新宿区の運用は改訂されることがあります。届出時には、次の公的資料の最新版を確認してください。
著者


行政書士 渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。

