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行政書士
住宅宿泊管理業者への委託は、「投資物件なら必ず必要」「近くに住んでいれば不要」と単純には決まりません。まず届出住宅の居室数と宿泊中の不在を確認し、そのうえで生活の本拠と届出住宅の位置関係から例外に当たるかを、順番に確認します。
- 【委託義務の判定】届出住宅の居室数が5室を超えるか
- 【委託義務の判定】宿泊者がいる間に事業者本人が不在になるか
- 【例外の判定】自ら管理する届出住宅の居室数の合計が5室以下で、同一建物・敷地内・隣接住宅から異変を認識できるか
管理会社を決める時期は、申請直前ではありません。近隣周知、管理受託契約、本人確認、鍵、苦情対応、駆けつけ等の計画へ影響するため、届出準備の早い段階で固めます。
結論|不在又は5室超なら原則として委託が必要
住宅宿泊事業では、次のいずれかに該当するとき、原則として住宅宿泊管理業務を登録済みの住宅宿泊管理業者へ委託します。
- 届出住宅の居室数が5室を超える
- 宿泊者がいる間に住宅宿泊事業者が不在となる
ここでいう「住宅宿泊事業者」は届出者本人です。家族、従業員、清掃会社等が物件内にいても、その人が届出者でなければ、当然に「不在ではない」と扱われるわけではありません。
| 計画 | 基本的な考え方 | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 個人が届出住宅に居住 | 不在時間と居室数を確認 | 一時的な不在の範囲、自己管理の実態 |
| 個人が同一建物・敷地・隣接住宅に居住 | 例外の可能性あり | 異変を認識できる位置関係、5室以下 |
| 個人が遠方に居住 | 原則委託 | 登録業者、管理受託契約、現地体制 |
| 法人が届出者 | 原則委託 | 従業員常駐で自己管理扱いにできるかは、届出先への確認が必要 |
自主管理できる例外を確認する
届出者が届出住宅から離れる場合でも、一定の条件を満たせば、管理業者へ委託せず自ら管理できる可能性があります。
生活の本拠が同一建物・敷地内又は隣接地にある
届出者が生活の本拠として使う住宅と届出住宅が、同じ建物、同じ敷地内又は隣接地にあることが出発点です。ただし、物理的に近いだけでは足りません。届出住宅で起きる騒音その他の生活環境の悪化を認識できないことが明らかな場合は、例外として扱われない可能性があります。
自ら管理する居室数の合計が5室以下である
確認するのは、一つの物件だけではなく、自ら住宅宿泊管理業務を行う届出住宅の居室数の合計です。複数物件を扱う場合は、物件ごとに切り離して数えないよう注意します。
「徒歩数分だから」「同じマンションだから」という理由だけで、委託不要とは判断できません。住戸の位置関係、共用部、騒音等を認識できるか、居室数、実際の居住状況を示して届出先へ確認します。
家主居住型・家主不在型の判定と、住民票・実際の居住状況は次の記事で詳しく解説しています。
住宅宿泊管理業者と一般の運営代行会社は同じとは限らない
住宅宿泊管理業者は、国土交通大臣の登録を受け、住宅宿泊事業法上の管理業務を受託する事業者です。一方、「民泊運営代行会社」は一般的なサービス名称であり、予約管理や価格調整だけを行う会社も含まれます。
| 委託先 | 主な役割 | 法定委託先にできるか |
|---|---|---|
| 住宅宿泊管理業者 | 衛生、安全、外国人宿泊者への案内、名簿、周辺環境への説明、苦情対応、維持保全等 | 登録と契約範囲を確認したうえで可能 |
| 一般の運営代行会社 | 予約管理、価格調整、メッセージ、清掃手配等 | 住宅宿泊管理業者登録がなければ法定委託先にはできない |
| 清掃・ごみ・リネン業者 | 個別の現地作業 | 単独では管理業務全部の委託にならない |
| 駆けつけサービス | 契約した緊急時の現地対応 | 単独契約だけで法定委託を代替できるとは限らない |
法第11条に基づく委託が必要な場合は、住宅宿泊管理業務の全部を一つの住宅宿泊管理業者へ契約で委託します。住宅宿泊管理業者は業務全部を他社へ丸投げできませんが、自ら責任を負ったうえで一部業務を再委託することはあります。
管理会社は周知を始める前に決める

管理会社が決まらず、周知を始められなかった事例
民泊GOの案件では、管理会社と苦情対応等の体制が決まらないため、周知資料の記載を固められず、近隣周知と申請準備が遅れたことがあります。
また、管理会社を決めて周知した後、申請直前に管理会社を変更したため、変更後の体制で再周知が必要となった案件もあります。管理会社は「申請書へ会社名を書くため」だけでなく、近隣へ説明する運営体制の一部です。
自治体ごとに周知内容と変更時の扱いは異なります。管理会社、苦情窓口、駆けつけ体制等を周知事項に含める場合は、変更時に何をやり直すかも確認します。
近隣説明の要否・対象・方法は次の記事で確認できます。
旅館業では「住宅宿泊管理業者への法定委託」とは別に考える
旅館業では、住宅宿泊事業法第11条と同じ住宅宿泊管理業者への委託義務をそのまま当てはめません。ただし、旅館業だから遠隔で自由に自主管理できるわけでもありません。
- 玄関帳場又は代替設備と、必要な従事者・常駐体制
- 本人確認、宿泊者名簿、鍵、苦情対応
- 緊急時の駆けつけ時間、人数、勤務シフト
- 清掃、リネン、ごみ、設備故障等の現地業務
これらを営業者自身で行うか、運営会社等へ任せるかを決め、自治体の条例・審査基準と整合させます。住宅宿泊管理業者の登録がある会社でも、旅館業の自治体要件を満たす体制を提供できるとは限りません。
駆けつけ体制の時間・人数・常駐との違いは、次の記事で確認してください。
契約から申請までの進め方
管理会社の見積を取る前に、自治体へ説明する運営体制を決めておくと比較しやすくなります。必要業務が曖昧なままでは、安い見積ほど業務不足になっている可能性を見分けられません。
委託が必要と分かったら、費用の比較、契約前の確認項目、遠方物件の現地体制を、それぞれ次の記事で確認してください。
まとめ|委託義務だけでなく、周知・契約・現地をつなげる
住宅宿泊管理業者への委託が必要かは、不在、居室数、生活の本拠との位置関係等で判断します。委託が必要な場合は、登録済みの住宅宿泊管理業者へ管理業務全部を契約で委託し、一般の運営代行や部分業者と区別してください。
管理会社の決定は、周知、契約書、届出資料、本人確認、鍵、駆けつけ等へ影響します。契約先だけ決めるのではなく、書類と現地で同じ体制を実行できるところまで確認することが、開業遅延を防ぐポイントです。
参考にした公的一次情報
(2026年9月2日確認。自治体の条例、審査基準、周知事項、提出書類及び個別案件の判断は、施設所在地と計画に応じて確認してください。)
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著者


行政書士 渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。



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