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民泊の定員は、建物全体の床面積を一つの数字で割るだけでは決まりません。住宅宿泊事業、旅館・ホテル営業、簡易宿所営業では、使う面積と最低基準が異なります。さらに、トイレ・洗面・浴室、消防設備、自治体の条例や運用が定員計画に影響します。
本記事では、候補物件に何人泊められるかを判断する順番を整理します。契約や改修工事の前に読むことで、想定売上の前提となる定員と、追加工事の可能性を早い段階で確認できます。
結論:定員は「制度→面積→設備→消防・建築→自治体」の順で決める
最初に、予定している営業制度を確定します。同じ間取りでも、住宅宿泊事業と旅館業では面積の数え方が同じではありません。
| 制度 | 最初に見る数字 | 注意点 |
|---|---|---|
| 住宅宿泊事業 | 居室は宿泊者1人当たり3.3㎡以上 | 居室と宿泊室は範囲・測り方が異なる |
| 旅館・ホテル営業 | 1客室7㎡以上。寝台を置く客室は9㎡以上 | これは1人当たり面積ではない。定員基準を別に確認する |
| 簡易宿所営業 | 客室延床面積33㎡以上。宿泊者10人未満なら3.3㎡×人数以上 | 自治体の収容定員・有効面積基準も確認する |
「3.3㎡」は複数の場面で登場しますが、どの制度で、何の面積に使う数字かが違います。旅館業の定員を一律に「客室面積÷3.3」で決めることはできません。
民泊の定員を決める5つの手順

実測すると、想定人数を減らすことがある
相談時の想定人数は、部屋の印象やベッドを置けそうな数から決められていることが少なくありません。しかし、申請用に実測し、収納や水回りなど算入できない部分を除くと、希望人数を確保できない場合があります。
民泊GOでも、実測結果を踏まえて定員を減らすことがあります。売上計画に直結するため、賃貸借契約や家具購入より前に確認することが重要です。
リビングを使って定員を増やせる場合もある
反対に、リビングを宿泊者の就寝・滞在部分として計画し、ソファベッドを配置することで、建物全体の定員を増やせる場合があります。ただし、ソファベッドを置くだけで自動的に定員が増えるわけではありません。
制度上の対象面積、申請図面上の用途、寝具配置、避難や消防設備、自治体の判断まで整合させる必要があります。
住宅宿泊事業は「居室1人当たり3.3㎡」で計算する
住宅宿泊事業では、各居室の床面積について、宿泊者1人当たり3.3㎡以上を確保します。ここでいう居室は、宿泊者が占有する部分です。宿泊者が占有しない台所、浴室、便所、洗面所、廊下や、押入れ・床の間などは含めません。詳しくは、観光庁の「事業者の業務[1]」でも確認できます。
居室は内寸で測ります。一方、消防上の50㎡判断などに使う「宿泊室」は別の区分です。詳しい測り方は次の記事で整理しています。
旅館業は営業種別と自治体基準を分けて見る
旅館・ホテル営業の7㎡・9㎡は、1客室に求められる最低面積です。簡易宿所営業の33㎡・3.3㎡は客室延床面積の基準です。これらは、そのまま各客室の収容定員を示す数字ではありません。国の基準は、厚生労働省の「旅館業の種類と構造設備基準」で整理されています。
実際の定員は、自治体が定める客室有効面積の基準、寝具の配置、設備数などを重ねて決めます。
面積を満たしても、設備や安全基準で人数が変わる
トイレ・洗面・浴室
旅館業法令は、適当な規模の洗面設備・入浴設備と適当な数の便所を求めています。具体的な数は自治体の条例や細則で補われることがあり、客室内に付設するか共同設備にするか、各階に必要か、一棟貸しかでも確認内容が変わります。
消防設備と建築基準法
定員や就寝場所を増やすと、消防計画や避難計画にも影響します。就寝に使う部屋を変更したり、二段ベッドを追加したりする場合は、保健所だけでなく消防署・建築担当との整合も確認してください。
契約・工事前に用意したい資料
- 物件所在地と希望する営業制度
- 各階平面図と寸法
- 現地写真と既存設備の位置
- 希望する最大定員と寝具配置
- 客室ごとの使い方
資料がすべてそろっていなくても相談できます。分かる範囲を確認し、不足資料と行政協議が必要な論点を整理します。
まとめ:定員は売上計画より先に、図面と行政確認で固める
住宅宿泊事業の3.3㎡、旅館・ホテル営業の7㎡・9㎡、簡易宿所の33㎡・3.3㎡は、それぞれ役割が違います。数字だけを抜き出さず、営業制度と対象面積を結び付けてください。
そのうえで、水回り、消防・建築、自治体基準を確認して初めて、申請上の定員と現実的な運営人数が決まります。
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著者


行政書士 渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。


