マンション管理規約を民泊可に変更する手順|2026年改正後の決議要件と総会準備

マンション管理規約を民泊可に変更する手順|2026年改正後の決議要件と総会準備

管理規約を民泊可に変えるには、何票の賛成が必要ですか?

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行政書士

2026年4月1日以降に招集する総会では、定足数を満たしたうえで、出席区分所有者数とその議決権の各4分の3以上の賛成が原則必要です。

管理規約は、区分所有者一人の希望、貸主の同意、理事長の了解といった個別の承諾だけでは変更できません。

2026年4月1日以降に招集手続を行う総会では、まず集会への出席の要件(定足数)があります。原則として、議決権を有する区分所有者の過半数かつ議決権の過半数を有する者が集会へ出席することが必要です。そのうえで、出席した区分所有者の数とその議決権の各4分の3以上の賛成があって、規約変更の決議が成立します。2026年3月31日までに招集手続を行った総会は経過措置の対象となるため、別に確認が必要です。

つまり「20戸だから15票」といった戸数だけの計算では判断できません。現行規約が二つの過半数について、より高い定足数を定めている場合、一部の区分所有者の権利へ特別の影響が及ぶ場合、議決権の行使方法をどう定めているかは、手元の規約と資料で別に確認します。

本記事は、総会へ提案する前に、決議要件、区分所有者数と議決権の確認方法、規約と使用細則の役割分担、事業者本人が示す運営条件までを順番に整理します。

管理規約は個別承諾だけでは変更できない

マンション管理規約を民泊可に変更する手順|2026年改正後の決議要件と総会準備
マンション管理規約を民泊可に変更する手順|2026年改正後の決議要件と総会準備の判断ポイントを整理した図

管理規約は、区分所有者の間で効力を持つ建物全体のルールです。個々の売買契約や賃貸借契約とは性質が異なり、当事者間の合意だけで書き換えられるものではありません。

そのため、次のような承諾は、いずれも規約変更にはあたりません。

  • 住戸の所有者が「うちは宿泊事業に使ってよい」と承諾した
  • 理事長や管理会社の担当者が口頭で「問題ない」と答えた
  • 理事会で前向きな意見が出て、方向性が共有された

理事会の賛同は総会提案の準備として重要ですが、規約そのものを変えるのは集会(総会)の決議です。規約が区分所有者や占有者に対してどのような効力を持つかは、建物の区分所有等に関する法律に定められています。

また、行政上の届出・許可・認定を先に済ませても、規約上の制限がなくなるわけではありません。所有権原の確認、管理規約の確認、行政手続の確認は、それぞれ別に通す必要があります。

2026年改正後の定足数と決議要件

まず定足数を満たす

規約の変更は、区分所有法上の特別決議にあたります。2026年4月1日以降に招集手続を行う総会では、決議に先立つ出席要件(定足数)と、出席者を分母とする賛成要件の二段構えで考えます。2026年3月31日までに招集手続を行った総会は経過措置の対象です。

項目 内容
決議の段階1:定足数 議決権を有する区分所有者の過半数、かつ議決権の過半数を有する者の出席
決議の段階2:賛成要件 出席した区分所有者の数の4分の3以上、かつその議決権の4分の3以上の賛成
あわせて確認:特別の影響 一部の区分所有者の権利へ特別の影響を及ぼすときは、その者の承諾
あわせて確認:規約の上乗せ 定足数を構成する二つの過半数について、現行規約がより高い割合を定めていないか

賛成の数の分母は、全区分所有者ではなく出席した区分所有者です。改正前の考え方である「全区分所有者の4分の3」という理解のまま賛成数を見積もると、必要な出席の確保を見落とします。

出席者の各4分の3以上

一方で、出席が少なければ定足数を満たさず、決議自体が成立しません。賛成者を増やす前に、どれだけの区分所有者が出席・議決権行使をするのかを見積もることが出発点になります。

特別の影響の有無は、議案の内容と個別の事情によって判断が分かれる論点です。自分の議案が誰の権利にどう影響するのかは、条文の文言だけで自己判断せず、弁護士等へ確認してください。

経過措置と特別の影響

なお、条文は施行日によって内容が異なります。e-Gov法令検索の建物の区分所有等に関する法律のページで、2026年4月1日施行時点の条文を選んで読みます。

区分所有者数と議決権をどう分けて確認するか

決議要件では、「区分所有者の数」と「議決権」が別々に登場します。この二つを混同すると、必要な賛成数の計算が実態と合わなくなります。

確認項目 見るもの よくある行き違い
区分所有者の数 誰が区分所有者かという人数 一人が複数住戸を所有している場合の数え方
議決権 規約で定めた割合(専有部分の床面積割合等) 戸数と議決権が一致すると思い込む
共有住戸 共有者の議決権行使者の指定 誰が議決権を行使するのか未確認
行使方法 書面、電磁的方法、代理人による行使 出席とみなす範囲を規約で確認していない

一人で複数の住戸を所有している区分所有者がいる場合、区分所有者の数と議決権の割合は一致しません。住戸の面積が均一でないマンションでも同じです。

議決権の割合は規約で定められているため、まず現行規約の該当条項を読みます。区分所有者の数と議決権に関する資料は、管理組合や管理会社へ照会する項目です。

書面や代理人による議決権行使は、規約に定めがある場合の電磁的方法も含め、標準管理規約では出席者数と出席議決権数へ算入する規定例が示されています。実際の数え方は現行規約と議決権行使方法によるため、招集の準備段階で確認します。

総会招集から決議までの準備手順

準備は、次の順序で進めると資料の抜けが起こりにくくなります。

STEP.1
現行の管理規約、使用細則、直近の総会・理事会議事録を入手
現行の管理規約、使用細則、直近の総会・理事会議事録を入手する
STEP.2
区分所有者の数、議決権割合、議決権行使方法を確認する
区分所有者の数、議決権割合、議決権行使方法を確認する
STEP.3
変更する条項案と、使用細則へ置く事項の案を作る
変更する条項案と、使用細則へ置く事項の案を作る
STEP.4
理事会へ議案として説明し、総会付議の手順を確認する
理事会へ議案として説明し、総会付議の手順を確認する
STEP.5
規約と法律の両方を満たす期間で、会議の目的と全議案の要領
規約と法律の両方を満たす期間で、会議の目的と全議案の要領を示した招集通知を発する
STEP.6
総会で審議し、定足数と各4分の3以上の賛成を確認して決議
総会で審議し、定足数と各4分の3以上の賛成を確認して決議する
STEP.7
議事録を作成し、規約原本と写しの管理方法を整理する
議事録を作成し、規約原本と写しの管理方法を整理する

招集通知の期間には注意が必要です。区分所有法では、集会の招集通知は原則として会日より少なくとも1週間前に発することとされ、この期間は規約で伸ばすことができます。国土交通省の令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)には2週間前とする規定例が示されていますが、これはひな型の例であり、法律上一律の要件ではありません。

実際に守るべき期間は、法律上の最低期間と、そのマンションの現行規約が定める招集期間の長い方です。手元の規約に期間の定めがある場合は、その日数で総会日から逆算して日程を組みます。

2026年4月1日以降に招集手続を行う総会では、全議案について、区分所有者が賛否を検討できる程度に決議内容を要約した「議案の要領」を招集通知で示します。規約変更では変更前後の条項案を明示し、通知事項と通知期間の双方を、改正法と現行規約に照らして確認します。国土交通省の令和7年マンション標準管理規約改正の説明資料も参照できます。口頭の説明だけでは、賛否の判断材料にも、決議後の記録にもなりません。

日程を組む際は、支出の順序にも注意します。規約変更は、要件を満たす準備をしても成立が保証される手続ではないため、決議の結果が出るまでは、工事の発注や運営会社への初期費用の支払いを先行させない方が安全です。

民泊等を認める場合に規約と使用細則へ何を定めるか

基本方針は規約へ

宿泊事業を認める方向で提案する場合、規約と使用細則の役割を分けて設計すると議論が整理されます。基本方針は規約に、日常運営の詳細は使用細則等に置くという考え方です。

置く場所 主な内容
管理規約 宿泊事業を許容するか禁止するか、対象とする事業の範囲、遵守すべき手続の枠組み
使用細則等 事前の届け出、共用部の使い方、ごみ、騒音、鍵、苦情窓口、報告、違反時の取扱い

対象範囲の書き方も重要です。住宅宿泊事業、旅館業、特区民泊は別の制度であり、「民泊」という一語でまとめると、どの事業が許容され、どの事業が対象外なのかが読み取れなくなります。どの制度を対象とするのかは、条項の文言で特定します。

運営詳細は使用細則へ

標準管理規約には、住宅宿泊事業を許容する規定例と禁止する規定例が示されています。改正の趣旨は国土交通省の令和7年マンション標準管理規約の見直しにまとめられており、規定例の全体はマンション標準管理規約から確認できます。

ただし、標準管理規約はひな型です。そのマンションの現行規約そのものではないため、規定例をそのまま提案に使うのではなく、手元の規約の条番号と文言に合わせて調整します。

対象制度を明記する

既に禁止規定がある場合、使用細則だけを変えて禁止を解くことはできません。禁止規定そのものを変更する議案として扱う必要があります。

条項を整えること自体は、トラブルが起きないことを保証するものでもありません。規約と細則は、問題が起きたときに誰がどう対応するかを決めておくための枠組みです。

規約に宿泊事業の記載がない場合は、禁止規定を変更する議案づくりではなく、現行規約をどう読むかの確認から入ります。読むべき条項、管理組合へ問い合わせる内容、総会への提案が要るかどうかを検討する順序が変わり、そろえる資料も変わります。

総会前に本人が示したい運営条件と説明資料

管理組合が懸念しやすいのは、制度論よりも日常の生活環境です。騒音、ごみ、共用部の使われ方、安全、そして問題が起きたときの責任主体が主な論点になります。

事業者本人が総会前に整理しておく運営条件を、次のチェックリストにまとめました。空欄のまま提案すると、質疑で答えられず、審議が先送りになりがちです。

項目 示す内容
運営主体 誰が事業者で、管理業務を誰が担うのか
本人確認 宿泊者の確認方法と記録の残し方
苦情窓口 受付の連絡先と受付時間、一次対応の担当
騒音対策 館内ルールの周知方法と、発生時の対応手順
ごみ 排出の方法、集積所を使うかどうか、回収の担い手
共用部 エントランス、エレベーター、廊下の使い方と荷物の扱い
鍵・安全 鍵の受け渡し方法と、紛失時の対応
緊急連絡 夜間・休日を含む連絡体制と到着までの目安
違反時対応 ルール違反があった場合の措置と中止の判断
定期報告 管理組合へ何を、どの頻度で報告するか

過去の運営状態が、次の計画の判断材料になることもあります。弊所でお受けした、賃貸マンションの一室で旅館業を行っていた匿名案件では、同じ建物で1室目を運営している以上、2室目も同じように進むという見通しで計画が立てられていました。地域と対応時期は非公開で、規約変更の事例ではなく、2室目について賃貸人から新たな承諾を得る場面の事例です。

見落とされていたのは、1室目の運営中に住民から寄せられた騒音とごみをめぐる苦情が、次の住戸の検討でそのまま判断材料になる点です。結果として、同じ建物の別室について所有者の承諾を得られませんでした。

複数室の展開を計画している場合は、先に稼働している住戸の運営記録と苦情対応の経過を、提案前に整理します。ご相談の時期としては、2室目以降の住戸を検討し始めた段階が適しています。

試行期間を設ける、一定期間後に見直すといった提案を検討材料にすることはできます。ただし、その扱いも正式な規約・使用細則・決議に沿って定める必要があり、口頭の申し合わせで運用できるものではありません。

反対意見への対応は、説得の技法ではなく、事実と条件をそろえる作業です。答えられない項目が残っているうちは、提案の時期を遅らせる判断もあり得ます。

決議後に残す議事録・規約原本・行政提出資料

決議が成立したら、記録の整備へ移ります。ここが不十分だと、後から行政手続や住戸の売却の場面で、変更内容を証明できなくなります。

議事録は、議案の内容、出席の状況、賛否の結果が分かる形で作成し、保管します。規約は書面又は電磁的記録で作成され、保管と閲覧の取扱いが区分所有法に定められているため、原本の保管者と閲覧の方法は、管理組合内で確認する項目です。

規約変更にあたって、一般的な不動産登記の手続が必要になるわけではありません。「登録」という言い方で処理を想像せず、規約原本の保管と区分所有者への周知として整理します。

行政手続では、変更後の規約の写しや議事録を使う場面があります。参照先は制度ごとに分かれるため、自分が進める制度の資料から読みます。

旅館業と特区民泊は、自治体ごとに求められる資料と様式が異なります。上の自治体の案内はあくまで実務例のため、実際にそろえる書類は所在地の窓口でご確認ください。

合意形成と紛争対応で専門家を分ける

規約変更の準備では、行政書士が担える範囲と、弁護士へ依頼すべき範囲が分かれます。ここを混ぜて依頼すると、期待した対応が得られません。

内容 主な相談先
行政手続と提出書類の整理 行政書士
運営計画、事実資料、説明資料の整理 行政書士
規約文言の解釈をめぐる争い 弁護士
反対者や管理組合との条件交渉、代理 弁護士
決議の効力、差止め、損害賠償 弁護士

民泊GOでは、行政申請、必要書類、事実資料、運営計画と総会向け説明資料の整理を扱います。反対意見が出て権利義務の争いになっている案件での説得、条件交渉、和解または同意取付の代理は行いません。その段階は連携弁護士へご案内します。

既に契約や工事へ進んだ後で禁止規定に気づいた場合は、規約変更の検討より前に、支出を止めて資料を保全する初動が優先します。

総会へ提案する前に、決議要件と示すべき運営条件を整理してください

規約変更の準備でつまずきやすいのは、票数の計算そのものよりも、確認すべき資料と提案内容が固まらないまま総会の日程だけが近づく状況です。

民泊GOへご相談いただくと、次の点が整理された状態になります。

  • 計画に適した営業制度が、住宅宿泊事業・旅館業・特区民泊のどれか
  • 選ぶ制度で行政へ提出する資料と、確認すべき窓口
  • 現行の管理規約と使用細則で、先に読むべき条項
  • 総会で示す事実資料と運営計画の組み立て方
  • 行政書士の側で進めておける準備と、弁護士へ引き継ぐ論点の切り分け

ご相談で扱うのは、行政手続、必要書類、事実資料と運営計画の整理です。規約解釈をめぐる紛争、反対者との条件交渉、差止めや損害賠償の判断は対象に含まず、決議の成立や営業の開始をお約束するものでもありません。

ご相談の時期は、理事会や総会へ議案を出す前が適しています。決議の日程が決まってからでは、資料をそろえ直す時間が取りにくくなります。

お手元にあれば確認がスムーズになる資料は次のとおりです。

  • 現行の管理規約と使用細則
  • 区分所有者の数と議決権に関する資料
  • 直近の総会・理事会議事録
  • 提案を予定している条項案
  • 運営計画と、苦情対応・ごみ・騒音への対策

規約変更に必要な準備は、選ぶ制度、所在地の自治体、現行規約の実際の文言、所有・賃借の関係によって変わり、同じ規模のマンションでも結論は同じとは限りません。上記の資料をお手元にご用意のうえ、物件ごとに分けてご相談ください。

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