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民泊とマンスリー賃貸は、同じ部屋で併用できる可能性があります。ただし「1か月以上なら自動的に賃貸になる」「平日は賃貸、週末は民泊」といった、期間名や日割りの発想だけで決まるものではありません。
分けるのは、宿泊と賃貸の契約、募集の内容、占有と管理責任の所在、事業者が提供するサービス、そして実際の使われ方です。そのうえで、物件の所有者、管理規約、担当自治体、契約や税務を扱う各専門家へ確認します。
ここを曖昧にしたまま「マンスリー」と表示して募集を始めると、賃貸のつもりで受けた期間が住宅宿泊事業の営業日数として扱われる、所有者の承諾範囲から外れる、といった食い違いが後から表面化します。
この記事では、宿泊と賃貸を分ける判断軸、併用を始める前の確認項目、実際に設計した併用事例、年間運用の組み立て順、向く物件と向かない物件を順に説明します。
なお、この記事でいう民泊は、住宅宿泊事業法にもとづく届出を行って営む住宅宿泊事業を指します。マンスリー賃貸は、月単位の期間を定めて建物賃貸借契約を結び、住戸を貸す形態を指します。旅館業や特区民泊として営む場合の要件は、この記事では扱いません。
まず押さえる点は3つです。
- 併用は「180日制限がなくなる制度」ではなく、宿泊できない期間を別の使い方へ回す運用である
- 宿泊か賃貸かは期間の長さだけでは決まらず、契約・管理・利用実態を合わせて判断される
- 始める前に、所有者承諾、管理規約、自治体確認、契約書の作成をそろえる必要がある
住宅宿泊事業のほかに旅館業や特区民泊という選択肢もあります。制度そのものを比較したい方は次の記事から確認してください。
自分の物件で併用できるかを個別に確かめたい方は、条件の整理からご相談ください。
民泊とマンスリー賃貸は併用できる可能性がある
同じ住戸を、住宅宿泊事業として使う期間と、賃貸として貸す期間に分ける運用は、実務でも行われています。前提となる考え方を先に整理します。
180日制限がなくなる宿泊制度ではない
住宅宿泊事業で人を宿泊させられる日数は、届出住宅ごとに年間180日が上限です。賃貸を組み合わせても、この上限が増えることはありません。
併用で変わるのは、宿泊させられない期間の使い方です。空室のまま置くのか、賃貸として貸すのかという選択であり、宿泊日数の枠を広げる手段ではありません。「180日制限を回避する方法」として設計すると、次章で扱う契約・管理責任・利用実態の判断軸から外れやすくなります。
180日の数え方そのものに不安がある場合は、先に日数の基準を固めてください。残日数が確定しなければ、賃貸へ回せる期間も決まりません。
同じ部屋でも、宿泊と賃貸を別の契約・利用実態で扱う
併用の設計では、同じ住戸を期間で切り替えるという発想だけでは足りません。期間ごとに、次の要素をまとめて切り替えます。
- 契約:宿泊者との宿泊契約か、入居者との建物賃貸借契約か
- 募集:宿泊施設としての募集か、賃貸物件としての募集か
- 占有と管理責任:事業者が管理する状態か、入居者が部屋を占有し管理する状態か
- 提供サービス:宿泊サービスとしての清掃やリネン交換等があるか
- 記録:住宅宿泊事業の実績として残す記録か、賃貸の契約・入退去の記録か
この5つが期間ごとに一貫していることが、併用を説明できる状態です。契約書だけを差し替え、募集や運用が宿泊のままであれば、自治体や所有者へ説明する場面で、どちらの期間だったかを資料で示せなくなります。
住宅宿泊事業として受けた長期予約は、名称だけ後から賃貸へ変えない
実務で起きやすいのが、宿泊施設として掲載したページから入った長期予約を、期間が長いという理由で後から「賃貸扱い」に読み替える処理です。
募集も予約経路も宿泊のままで、契約だけを賃貸と呼び替えても、分けたことにはなりません。入口が住宅宿泊事業であれば、その期間は営業日数として管理するのが基本の考え方です。
賃貸として扱うのであれば、募集の時点から賃貸として出し、契約も入居前に締結します。順序が逆になると、賃貸期間だったと後から説明することが難しくなります。
「1か月以上なら賃貸」と期間だけで決めない
併用の相談で最も多い誤解が、期間の長さを基準にする考え方です。ここは判断の中心なので、分けて説明します。
観光庁・厚生労働省が示す旅館業法の適用の有無の判断について(2026年8月31日確認)では、施設の使用期間の長短は判断要素の一つとされています。あわせて、施設の管理・経営形態や、部屋の衛生上の維持管理責任の所在なども含めて判断するとされています。日数だけで線を引く資料ではありません。
つまり「何日以上なら賃貸」という全国共通の境界を、この記事でも示すことはできません。代わりに、実務で確認する観点を3つに分けます。
契約書の名称だけでなく、利用者の占有と管理責任を見る
契約書の表題を「賃貸借契約書」にすれば賃貸になる、というものではありません。見られるのは、その期間に部屋を誰が占有し、衛生上の維持管理の責任を誰が負っているかです。
賃貸として貸す期間であれば、入居者が部屋を占有し、通常の使用に伴う管理を入居者が担う状態になります。事業者が随時立ち入り、宿泊施設と同じ管理を続けている状態は、これと整合しません。
責任の所在は、契約条項と実際の運用の両方で決まります。契約書の作成と条項の判断は弁護士の領域です。ひな形をそのまま流用すると、想定した管理責任の分担が契約へ反映されないまま運用が始まります。
事業者が提供する清掃・リネン等のサービス実態を分ける
宿泊サービスとして提供される定期清掃やリネン交換の有無も、管理・経営形態を見るうえでの要素になります。賃貸期間中も事業者が宿泊時と同じサービスを提供していれば、期間だけを根拠に「賃貸である」と説明するのは難しくなります。
ただし逆に、清掃をしなければ賃貸になる、というものでもありません。清掃の有無は法的な要件ではなく、管理とサービスの実態を構成する一要素です。そのため、清掃の有無だけで判断せず、契約と管理責任の内容と合わせて見ることになります。
募集内容、予約経路及び実際の利用を一貫させる
募集ページに宿泊施設としての情報を出しながら、契約だけ賃貸として結ぶ、という状態は避けます。募集、予約経路、契約、実際の使われ方が、同じ方向を向いていることが必要です。
たとえば賃貸として貸す期間なら、賃貸の募集経路で募集し、入居前に契約を締結し、入居中は入居者が占有する運用にします。宿泊として受ける期間なら、宿泊の募集経路で受け、住宅宿泊事業の記録として残します。
この一貫性は、後から資料で説明できる形にしておくことが重要です。募集画面、契約書、入退去の記録、清掃の実施記録が、期間ごとに整理されている状態を目指します。
併用を始める前に確認する6項目
併用は、始めてから整えるのではなく、始める前に確認をそろえます。順序を誤ると、契約済みの物件で運用できないことが分かる、という事態になります。
- 権利:所有者から、住宅宿泊事業とマンスリー転貸の双方について承諾を得る
- 権利:管理規約・使用細則が、宿泊と賃貸の双方に対応しているか確認する
- 契約:期間の満了で終了する契約形式(定期建物賃貸借契約)の方式と締結手続を弁護士等へ確認する
- 行政:担当自治体へ、具体的な契約・募集・管理計画を示して確認する
- 運営:保険、税務、入退去、原状回復の担当を決める
- 運営:宿泊と賃貸の記録を分けて残す体制を作る
所有者から住宅宿泊事業とマンスリー転貸の双方について承諾を得る
賃借物件で併用する場合、住宅宿泊事業の承諾だけでは足りません。第三者へ貸す転貸を含む承諾かどうかを、書面で確認します。
住宅宿泊事業の承諾書があるからマンスリーも当然に可能、という読み方はできません。承諾の対象が住宅宿泊事業に限定されていれば、賃貸として貸す部分は別途の合意が必要になります。承諾書の取り方は次の記事で扱っています。
管理規約・使用細則が宿泊と賃貸の双方に対応するか確認する
分譲マンションでは、管理規約や使用細則で住宅宿泊事業の可否が定められていることがあります。あわせて、転貸や短期の入退去に関する定めがないかも確認します。
宿泊が認められていても、頻繁な入退去や短期の貸出しに制限がある場合があります。規約の解釈に疑義があるときは、管理組合へ確認し、必要に応じて弁護士の判断を仰ぎます。
定期建物賃貸借契約の方式と締結手続を弁護士等へ確認する
マンスリーの期間を確定させるため、定期建物賃貸借契約が使われることがあります。契約期間の満了で終了する形にできれば、次の宿泊期間へ戻す設計が立てやすくなります。
ただし、定期建物賃貸借には、成立のために法律上求められる方式と手続があります。論点になるのは、書面の要件、契約前の説明、電子的な方法による締結の可否です。いずれも契約実務の判断が必要な部分のため、ひな形をそのまま使わず、契約書の作成と手続の確認を弁護士へ依頼してください。
「定期借家契約にすればスムーズに切り替えられる」という説明だけで進めると、要件を欠いた契約が残ります。
自治体へ具体的な契約・募集・管理計画を示して確認する
自治体への確認は、「民泊と賃貸を併用してよいか」という抽象的な質問では進みません。契約の形式、募集の方法、期間中の管理責任、提供するサービスまで具体化したうえで相談します。
条例で営業できる期間や曜日が制限されている地域では、賃貸へ回す期間の設計も変わります。地域ごとの上乗せ規制は、地域別の条例と調べ方の記事で確認してください。
保険・税務・入退去・原状回復の担当を決める
宿泊期間と賃貸期間では、加入する保険の想定も、収入の扱いも変わり得ます。火災保険や賠償責任保険が賃貸期間をどう扱うかは保険会社へ、収入と経費の区分は税理士へ確認します。
あわせて、入居者の入退去の手続、鍵の受渡し、原状回復の範囲を、誰が担当するかを決めておきます。運営を管理会社へ委託する場合は、宿泊期間と賃貸期間で業務範囲が変わる点を契約に反映します。
宿泊と賃貸の記録を分けて残す
住宅宿泊事業の期間は、宿泊者名簿や宿泊実績として記録します。賃貸期間は、契約書、入退去、賃料の記録として残します。
この2つを同じ台帳へ混ぜると、定期報告の集計時に切り分けができなくなります。開始時点から記録の様式と保管場所を分けておくと、集計時の手戻りを防げます。
ここまでの6項目は、物件を契約する前に見通しを立てておく内容です。承諾や規約の壁は、契約後に判明すると選択肢がほとんど残りません。
実際に行った民泊+マンスリー併用の設計
匿名化した支援事例で、実際にどこまで設計したかを示します。個別案件の条件に基づく内容であり、同じ運用が全国どこでも認められるという意味ではありません。
前提:住宅宿泊事業の届出を行った住戸で、条例により営業できる期間が限られていました。営業できない期間をマンスリー賃貸として貸したいという相談でした。
誤解しやすい点:相談の当初は、「1か月以上の予約であれば賃貸として扱えるので、同じ募集ページで受ければよい」という理解でした。ここを起点にすると、募集と契約が分かれません。
所有者承諾と定期借家契約を先に整えた
設計の順序として、募集を作る前に権利関係と契約を固めました。
- 住宅宿泊事業とマンスリー転貸の双方を、所有者の承諾へ含めた
- マンスリーは定期建物賃貸借契約を採用し、契約書は弁護士が作成した
- 利用開始前に、メッセージ上で契約を交わす運用とした
- 複数の自治体で、同様の併用について個別に確認した
自治体への確認は、契約の形式、募集の分け方、期間中の管理責任まで示したうえで行っています。複数の自治体で確認したという事実は、全国一律に認められる根拠にはなりません。物件ごとに、担当自治体への確認が必要です。
募集ページを分け、予約カレンダーを共通化した
募集は住宅宿泊事業とマンスリーで別ページとし、それぞれの経路から入る形にしました。一方で、予約カレンダーは共通化し、一方の期間が埋まればもう一方では受けられない設計にしています。
あわせて、住宅宿泊事業側で受けた1か月以上の宿泊予約は営業日数に算入する前提を置き、住宅宿泊事業側では原則として1か月以上の予約を受けない設定にしました。長期予約を後から賃貸へ読み替える処理を、運用の入口で発生させないためです。
契約と管理責任に合わせ、提供サービスを切り替えた
期間ごとに、提供するサービスも切り替えました。
- マンスリー期間中は、利用者が管理責任を負う前提とし、事業者は宿泊サービスとしての定期清掃等を提供しない設計にした
- 住宅宿泊事業の期間中は、少なくとも週1回のごみ回収と、定期的なリネン交換等を実施した
この頻度自体は、適法性の全国共通基準ではありません。契約、管理責任、サービスを一致させるという考え方が要点であり、回数は案件ごとに異なります。
結果:募集の入口から契約、管理責任、記録までが期間ごとに分かれ、住宅宿泊事業の営業日数と賃貸期間を混ぜずに管理できる状態になりました。
再発防止:長期予約を宿泊側で受けない設定と、共通カレンダーによる二重販売の防止を、運用開始時に組み込んでいます。
なお、担当範囲として、日常の予約管理と日数の記録は事業者側で行い、当事務所は届出と行政への確認に関する部分を担当しました。
適用限界:本件の契約期間、清掃頻度、募集の分け方は、その物件と自治体の条件を前提としたものです。別の物件で同じ設計が成り立つかは、権利関係と自治体確認からやり直す必要があります。
ここまでが、名称ではなく契約・管理・実態で分けるという考え方です。自分の物件で何をどこまで分ける必要があるかは、権利関係と自治体の条件によって変わります。
ご相談では、所有者承諾の範囲と、自治体へ示す計画をどこまで具体化するかから確認できます。弁護士や税理士へ回す部分の切り分けも、募集を始める前に整理できます。
年間運用を組む手順
併用は、年間の予定として組み立てます。順序を入れ替えると、確認前に募集を始めることになります。
- 条例を反映した住宅宿泊事業の営業可能日を確定する
- マンスリー需要と、必要な賃貸期間のまとまりを確認する
- 所有者承諾、管理規約及び自治体の確認を取る
- 契約書、募集ページ及び共通予約カレンダーを整える
- 鍵、入退去、清掃、リネン、緊急対応及び管理責任を切り替える
- 住宅宿泊事業の実績・定期報告と、賃貸期間の記録を分ける
2〜4は、前章の6項目に対応します。ここで決めるのは、それらをどの順番で、いつまでに終えるかです。
最初に営業可能日を確定させるのは、賃貸へ回せる期間がそこで決まるからです。営業できる曜日や期間が条例で制限されている地域では、宿泊期間が分散し、賃貸としてまとまった期間を確保しにくくなります。
年間の営業計画と収支の組み方は、別の記事で扱っています。併用を前提にした年間カレンダーを引く際は、あわせて確認してください。
日常の運用では、鍵の受渡しと入退去のタイミングが切り替えの起点になります。宿泊者の退室から入居者の入居までに、清掃と点検の日を確保できるかを、カレンダー上で先に押さえてください。
住宅宿泊事業の実績は定期報告として提出しますが、賃貸期間はその対象ではありません。集計の段階で混ざらないよう、記録は最初から分けます。
併用が向く物件・向かない物件
すべての物件で併用が成り立つわけではありません。判断軸ごとに、向く条件と向かない条件を整理します。
| 判断軸 | 併用が向く | 併用が向かない |
|---|---|---|
| マンスリー需要 | 出張や短期滞在の需要があり、希望入居期間が読める | 需要が薄く、賃貸期間の空室が長引く |
| 期間のまとまり | 宿泊できない期間がまとまって取れる | 営業可能日が分散し、賃貸期間が細切れになる |
| 所有者承諾・管理規約 | 宿泊と転貸の双方について承諾・確認が取れる | 承諾が住宅宿泊事業に限定、規約が転貸を制限 |
| 切替の実務能力 | 家具、鍵、清掃、入退去を切り替える体制がある | 遠隔管理のみで、入退去対応の手が確保できない |
| 予約管理 | 二つの募集を一つのカレンダーで管理できる | 募集ごとに別管理で、二重販売の恐れがある |
| 管理負担 | 契約、税務、保険の担当を決められる | 契約や記録の管理まで手が回らない |
| 通年の宿泊需要と180日上限の影響 | 宿泊需要が限定的で、賃貸期間の収益で足りる | 宿泊需要が通年で強く、日数上限が制約になる |
宿泊需要が通年で見込め、180日の上限そのものが事業の制約になっている物件では、併用よりも旅館業への切替を検討したほうが整理しやすい場合があります。要件と判断の順序は次の記事で扱っています。
よくある誤解と失敗を防ぐ
最後に、相談で繰り返し出てくる誤解を挙げます。いずれも、設計に入る前に確認しておきたい点です。
平日賃貸・週末民泊を簡単に反復できるとは限らない
週末だけ宿泊、平日は賃貸という組み合わせは、図としては分かりやすいものです。しかし、毎週入退去が発生する運用を賃貸として設計できるかは、契約の内容と管理責任の所在によります。
短い周期で繰り返す形は、契約、鍵、清掃、入退去の負担も大きくなります。パターンを先に決めるより、契約と管理の実態を組めるかから確認するほうが、手戻りが減ります。
賃貸借契約を交わさず、マンスリーと呼ぶだけでは足りない
募集ページに「マンスリー」と表示し、1か月以上の予約を受けただけでは、賃貸として運用していることにはなりません。入居前に契約を締結し、契約に沿った管理責任の分担を実行する段取りが必要です。
問題になりやすいのは、着手の時期です。契約書の作成と条項の判断は弁護士の領域であり、募集を始めてから依頼すると、入居予定日までに契約が整わないことがあります。募集の開始前に、作成と内容確認に必要な期間を見込んでおきます。
二つの募集ページで同じ期間を二重販売しない
募集を分けると、同じ期間を両方で販売してしまう事故が起きます。カレンダーを共通化し、一方が埋まればもう一方では受けられない状態にしておくと、この事故を防げます。
二重販売はキャンセル対応の負担にとどまりません。宿泊と賃貸のどちらとして扱うかが後から動くため、記録も日数管理も乱れます。
賃貸期間を住宅宿泊事業の定期報告へ混ぜない
定期報告で報告するのは、住宅宿泊事業として人を宿泊させた実績です。賃貸期間の入居日数を混ぜると、報告値の根拠を説明できなくなります。
記録を分けたうえで、報告前に住宅宿泊事業側の実績だけを集計します。日数の数え方に迷う場合は、先に基準を確認します。
所有者承諾が住宅宿泊事業だけに限定されていないか確認する
すでに住宅宿泊事業の承諾を得ている物件でも、その文面が転貸まで含んでいるとは限りません。併用を始める前に、承諾の対象範囲を読み直してください。
範囲が限定されている場合は、追加の合意が必要です。承諾を得ないまま賃貸へ回すと、入居中に所有者から中止や是正を求められる場面が生じ、賃貸借契約上の問題として扱われることがあります。
まとめ|契約・募集・管理実態を一体で設計する
民泊とマンスリー賃貸の併用は、180日の上限を増やす方法ではなく、宿泊できない期間の使い方を設計する話です。
- 宿泊か賃貸かは、期間の長さだけでなく、契約、管理・経営形態、利用実態を含めて判断される
- 併用の前に、所有者承諾、管理規約、契約書、自治体確認、保険・税務の担当をそろえる
- 募集ページは分け、予約カレンダーは共通化して二重販売を防ぐ
- 契約と管理責任に合わせて、提供するサービスと記録を期間ごとに切り替える
- 宿泊需要が通年で強い物件は、併用ではなく旅館業への切替を検討する
自分の物件で併用が成り立つかは、権利関係、管理規約、自治体の条件、運営体制の組み合わせで決まります。募集を始める前の段階でご相談いただくと、確認の順序から整理できます。
ご相談では、次の点を整理します。
- 所有者承諾の範囲と、追加で必要になる合意
- 管理規約・使用細則の確認点
- 自治体へ示す契約・募集・管理計画の内容
- 弁護士、税理士、保険会社へ回す部分の分担
- 募集、予約、管理の設計順
お手元にあれば確認がスムーズな資料は、住所、間取り・図面、賃貸借契約書や承諾書、管理規約、想定している期間、募集方法です。資料がそろっていなくても、所在地と計画の段階から初回のご相談は可能です。
なお、契約条項の判断、個別の紛争、賃料に関する法的判断は弁護士の領域であり、この記事では扱っていません。ご相談の中でも、扱える範囲と専門家へ引き継ぐ範囲を明示します。
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著者


行政書士 渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。


