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2026年9月7日、新宿区が住宅地や学校周辺で住宅宿泊事業を原則禁止し、既存施設にも制限を広げる方針を固めたと報じられました。一方、正式な条例案、対象区域図、学校からの距離、既存施設の猶予期間は、区の公式資料ではまだ確認できません。
「将来禁止される可能性があること」と「今日から営業できないこと」は同じではありません。学校が近い物件でも、旅館業への切替を検討できる場合があります。この記事では規制の内容と自分への影響、マンスリー賃貸・旅館業などの選択肢を整理します。
確認基準日:2026年9月7日。今後、新宿区のパブリックコメント、条例案、施行規則、区域図等が公表された時点で更新します。
新宿区の民泊規制は、まだ改正・施行されていません
最初に、現在確定していることと、報道段階の内容を分けます。収支計算や契約判断では、この区別が重要です。
| 確認項目 | 現在の新宿区ルール | 2026年9月7日に報じられた方針 |
|---|---|---|
| 住居専用地域 | 月曜正午から金曜正午まで営業不可 | 住宅地で原則営業禁止と報道 |
| 学校周辺 | 住宅宿泊事業について学校周辺だけを対象にした営業禁止区域は確認できない | 文教地区など学校周辺で原則営業禁止と報道 |
| その他の地域 | 区独自の曜日制限はなく、法定上限は年間180日 | 商業地域でも年間120日へ制限すると報道。対象となる用途地域の範囲は未確定 |
| 既存施設 | 現行条例に従って営業 | 一定の猶予期間後に新しい制限を適用すると報道 |
| 例外 | 現行の届出区分と条例に従う | 家主同居で適切に運営する場合などを例外とする方向と報道 |
| 施行時期 | 改正条例は未施行 | 2027年夏以降を目指すと報道 |
報道内容は重要な判断材料ですが、条例そのものではありません。正式な規制区域、例外、経過措置が公表される前に「この住所は必ず禁止になる」「今なら既得権が得られる」と断定することはできません。
現行ルールは、新宿区「住宅宿泊事業と新宿区のルール」で確認できます。曜日制限の数え方は、次の記事で詳しく解説しています。
報道された規制強化案の内容
読売新聞オンラインの転載記事では、新宿区は住宅地や学校周辺で住宅宿泊事業を原則禁止する方針を固めたとされています。新規だけでなく既存施設も対象とし、約2,000施設、現状の半数以上が営業できなくなる可能性があると報じられました。算定の詳しい根拠は、現時点で区の公式資料から確認できません。
住宅地・文教地区などを原則禁止する方向
報道で例示された対象は、都市計画上の住居専用地域や文教地区などです。ただし、「学校周辺」が何メートルなのか、どの学校・教育施設を対象にするのか、敷地のどこから測るのかは未公表です。
既存施設にも猶予期間後の制限を設ける方向
新規の届出だけを止めるのではなく、既存の届出住宅にも制限を適用する方針と報じられています。猶予期間の長さと起算日は、既存事業者の投資回収や売却判断を大きく左右しますが、現時点では確認できません。
家主同居などに例外を設ける方向
家主が同居して適切に運営できる場合などは、例外的に営業を認める考えと報じられています。ただし、例外の対象となる居住形態の定義や判定方法は未公表です。正式案で確認する必要があります。
商業地域でも年間120日へ縮小する方向
報道では、商業地域についても営業上限を現行の年間180日から120日へ減らす方針とされています。商業地域だけを指すのか、住居専用地域以外を広く指すのか、既存施設にも同じ日数を適用するのかは、条例案での確認が必要です。
今回の報道内容は「民泊が全国最多の新宿区、住宅地や学校周辺の営業禁止へ」で確認できます。
なぜ今回、学校周辺を含む規制案が出てきたのか
新宿区は、2017年の条例制定時にも学校周辺を規制すべきという意見を受けていました。区は当時、商業地域やターミナル駅周辺にも学校があること、国の見解では営業可能日をゼロにする制限が想定されていなかったことなどを理由に、学校周辺を一律の禁止区域にしませんでした。この経緯は、新宿区が公表した「パブリック・コメントの意見要旨と区の考え方」で確認できます。
その後、新宿区議会は2026年3月24日、所有物件への限定、管理業者の質、無届営業、許可制、自治体が柔軟に対応できる制度などについて、国に見直しを求める意見書を提出しました。これは今回報じられた区条例案そのものではありませんが、規制強化を求めてきた背景を示す資料です。
その前提を変えたのが、2026年7月15日に国が発出した技術的助言です。国は、合理的に必要な範囲で、住宅地や教育施設周辺における新規の住宅宿泊事業を禁止したり、営業可能日を限定したりすることが可能との考え方を示しました。
さらに、既に多数の民泊が立地し、居住環境への著しい影響が生じているなど強い必要性がある場合には、既存施設にも猶予期間を設けたうえで制限を適用することが考えられるとしています。これは国から自治体への技術的助言であり、それ自体が新宿区の条例を変更するものではありません。
国の資料は、観光庁「住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について」で確認できます。
新宿区では施設数と苦情が増えている
新宿区の公表資料によると、2025年度末の届出住宅は3,749施設でした。同年度の苦情処理件数は、届出住宅に関するものが924件、違法民泊に関するものが410件で、合計1,334件です。主な内容として、ごみ、騒音、たばこ、標識の未設置、事前説明、無許可営業などが挙げられています。
この数字は、新宿区「届出状況及び苦情処理について」の2025年度末集計です。報道が示す2026年7月15日時点の3,775施設とは、集計時点が異なります。
上乗せ条例によって自治体ごとに営業区域・日数が変わる基本的な仕組みは、次の記事で解説しています。
条例改正までの想定スケジュール
報道と通常の条例改正手続をもとに、今後確認する段階を並べると次のようになります。日程は正式発表で変わる可能性があります。
現時点でまだ決まっていないこと
正式な判断には、今後公表される条例案や区域図が必要です。特に次の項目は、2026年9月7日時点で未確定です。
- 規制対象となる用途地域と区域図
- 「学校周辺」の対象施設、距離、測定起点
- 家主同居などの例外要件
- 既存施設に対する猶予期間、基準日、経過措置
- 年間120日制限の対象地域と既存施設への適用
- パブリックコメント、条例提出、公布、施行の正式日程
新規開業・既存運営・売買では影響が異なります
これから物件を契約する場合
住居専用地域、文教地区、学校周辺に該当する可能性がある物件は、現行条例だけを前提に収支を組むと、施行後に計画が成立しなくなるおそれがあります。一方で、正式な区域図がない段階で、報道だけから対象・対象外を確定することもできません。
契約前には、用途地域、学校等の位置、希望する開業時期、住宅宿泊事業以外の制度を利用できるかを確認します。必要に応じて、許可・届出が成立しない場合の解除条件も検討対象になります。
すでに届出準備を進めている場合
現在の条例に基づく届出手続は続いています。ただし、経過措置の有無や内容自体がまだ公表されていません。届出の受理日、事業開始日、改正条例の基準日がどのように扱われるかは、正式案で確認する必要があります。
「早く出せば必ず既存施設として残れる」とはまだ判断できません。資料が不足したまま進めるのではなく、区の正式発表と現在の手続状況を照らして判断してください。
すでに住宅宿泊事業を運営している場合
まず、自施設の用途地域と周辺施設を確認します。そのうえで、現在の届出に記載した居住・管理の形態と、実際の運営が一致しているかを整理します。
既存施設にも制限が適用される場合、猶予期間中に事業継続、運営形態の変更、旅館業への切替、売却・撤退などを比較する必要があります。いずれも正式案が公表されてから、物件ごとに検討します。
事業譲渡・オーナーチェンジを予定している場合
住宅宿泊事業では、届出者が変わる場合、譲受人による新たな届出が必要です。旅館業の事業譲渡で利用される承継承認手続とは仕組みが異なります。
国の技術的助言は、新たな住宅宿泊事業が禁止された区域で届出者が変わると、新規届出が必要になるため、その物件で住宅宿泊事業を継続できないと説明しています。規制区域に入る物件では、売買価格や事業価値に直結する論点です。
住宅宿泊事業の譲渡と営業日数の扱いは、次の記事で詳しく整理しています。
Mから始まる届出番号は取り消される?
営業の制限と届出の廃止は別の問題です。営業が制限されるだけで、届出番号が廃止され、OTAへの掲載もできなくなると決まったわけではありません。番号や掲載の具体的な扱いは、正式発表と各OTAの対応を確認する必要があります。
仮に住宅宿泊事業として営業できる日数がゼロになっても、物件の活用方法がなくなるとは限りません。住宅賃貸借としてのマンスリー運用は、別の選択肢として検討できます。長期利用が多い物件なら、次の契約・運営・募集の条件を確認してみましょう。
マンスリー賃貸への転換も、物件を活用し続ける選択肢です
長期利用が多い物件なら、住宅として貸すマンスリー賃貸への転換も検討できます。住宅宿泊事業が難しくなっても、物件の活用方法がすべてなくなるとは限りません。
30日以上の予約と住宅賃貸借は、同じではありません
30日以上にする、定期借家契約書を作る、という形式だけでは判断できません。契約内容に加え、実際の利用・管理方法が住宅賃貸借として成立している必要があります。厚生労働省も、旅館業への該当性は管理・経営形態や利用実態から総合的に判断するとしています。厚生労働省の通知
番号が残っても、今のOTAをそのまま使えるかは別問題です
Airbnbは、届出住宅の30泊以上の宿泊予約も日数に算入し、行政へ報告すると案内しています。賃貸借として募集する場合は、掲載区分や集計の扱いをOTAへ確認する必要があります。Airbnbの宿泊日数に関する説明
契約・管理方法・募集経路をセットで整える
所有者の承諾や管理規約、契約内容、管理方法に加え、マンスリー向けの募集経路と採算も確認します。既存予約に契約書を追加するだけで切り替えたことにせず、どの時点からどの契約で利用してもらうかを整理しましょう。
マンスリー賃貸との併用条件や契約・管理の詳しい確認点は、次の記事で整理しています。
学校周辺でも、旅館業への切替が可能なケースも多い
学校の近くという理由だけで、宿泊事業を諦める必要があるとは限りません。住宅宿泊事業への規制と、旅館業の許可条件は別です。物件条件によっては、旅館業への切替が選択肢になります。
旅館業では、学校があっても一律禁止ではない
今回報じられた学校周辺の営業禁止案は、住宅宿泊事業に対する条例上の区域・期間制限です。旅館業法に基づき、学校等施設からおおむね100メートル以内の旅館業について意見照会を行う制度とは、根拠と手続が異なります。
旅館業では、学校が近いという理由だけで一律に営業が禁止されるのではなく、対象施設への意見照会を経て審査されます。教育環境への影響や必要な対策も確認されるため、照会書類を出すだけで必ず許可される制度ではありませんが、学校の近くにも旅館業を検討できる物件があります。
商業地域など、旅館・ホテルの用途が認められる場所であれば、学校が近いことだけを理由に諦めず、切替の可能性を確認しましょう。住宅街かどうかという見た目ではなく、用途地域・文教地区などの指定と、建築・消防・運営体制を確認することが大切です。新宿区の旅館業許可手続き
旅館業の学校等照会と100メートルの考え方は、次の記事で確認できます。
「学校の近く」と「文教地区」を分けて確認する
学校が近いことだけで旅館業が一律禁止されるわけではありません。一方、文教地区にはホテル・旅館の用途制限があります。また、住居専用地域と住居地域は異なり、旅館・ホテルを認める住居地域もあります。用途地域の名称、規模制限、文教地区等の指定を個別に調べます。今回の住宅宿泊事業の改正対象がどこまで広がるかとは、別に確認する事項です。
区域は新宿区の都市計画図、文教地区の制限は東京都文教地区建築条例で確認できます。
建物条件・学校等照会への対応と、費用・期間を確認する
住宅宿泊事業への規制が強くなると、年間を通じて営業できる旅館業への切替が候補になります。ただし、旅館業は住宅宿泊事業とは別制度です。
新宿区で旅館業へ切り替える場合も、用途地域、建築、消防、構造設備、運営体制、近隣・学校等に関する区の手続を個別に確認します。必要な工事と申請期間を含めて採算が合わなければ、現実的な代替策にならない場合があります。
住宅宿泊事業から旅館業へ切り替える判断順は、次の記事で詳しく解説しています。
学校が近い今の物件で、旅館業への切替を検討しませんか?
民泊GOでは、物件の所在地や現在の届出状況を伺い、旅館業への切替に向けて確認すべき条件を整理します。学校等照会や疎明書作成、建築・消防の確認、申請まで、必要な支援をご案内します。
資料は分かる範囲で大丈夫です。初回相談で論点と支援範囲を整理し、詳細調査・行政協議・申請等は別途お見積もりします。許可取得を保証するものではありません。
自分の物件は、どの方法で継続を検討すればよい?
| 選択肢 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 住宅宿泊事業を継続 | 対象区域・例外要件と、現在の届出内容・居住実態 |
| マンスリー賃貸へ転換 | 契約・管理実態、所有者の承諾、募集経路と採算 |
| 旅館業へ切替 | 用途地域・文教地区、建築・消防、運営体制、学校等照会、改修費用と期間 |
| 売却も含め再検討 | 譲受人が継続できる条件と、許認可上の課題 |
同じ新宿区内でも、選べる方法は届出内容や建物によって異なります。まずは、今ある資料で確認できることと、行政協議や専門家調査が必要なことを分けることが出発点です。
民泊GOでは、初回相談で現在の状況を伺い、確認すべき論点と支援範囲を整理します。詳細な資料調査・行政協議・申請等は内容に応じてお見積もりします。旅館業への切替では、建築・消防の確認や学校等照会、必要に応じた疎明書作成まで支援し、賃貸借契約の検討では弁護士と連携します。
現段階で確認しておきたいこと
正式案が出るまで何もしないのではなく、今確認できる事実を揃えておくと、区域図や経過措置が公表されたときに早く判断できます。
- 物件の正確な住所と用途地域
- 近隣にある学校・教育施設と、文教地区の指定
- 住宅宿泊事業の届出状況、届出者、事業開始日
- 現在の届出に記載した居住・管理の形態と、実際の運営体制が一致しているか
- 年間120日に減った場合でも収支が成立するか
- 売却、法人変更、事業譲渡の予定があるか
- 旅館業への切替が建築・消防・地域規制上可能か
新宿区の現在の営業可能エリアと、用途地域を住所から確認する方法は、次の記事で解説しています。
条例改正とは別に、現在の報告・運営義務も確認が必要です
改正案が注目されていますが、現行法令に基づく定期報告、届出内容の変更、標識、近隣対応、廃棄物処理などの義務は現在も続いています。
新宿区は2025年、定期報告に関する義務違反等があった事業者に業務停止命令を出しました。その後も必要な措置が取られなかったため、同じ事業者に廃止命令が出されています。規制改正を待つ間も、現在の届出内容と運営実態を一致させておく必要があります。
新宿区で住宅宿泊事業を始めるための現行条件、届出前周知、ごみ、消防、管理体制は、親記事でまとめて確認できます。
確定情報と未確定情報を分けて、更新を追います
2026年9月7日時点の結論は、次のとおりです。
- 新宿区が住宅地・学校周辺での原則禁止、既存施設への適用、商業地域の年間120日制限などを検討していると報じられた
- 正式な条例案、区域図、例外要件、既存施設の猶予期間はまだ確認できない
- 現時点で適用されるのは、住居専用地域の月曜正午から金曜正午までの営業制限など、従来の現行ルール
- 新規契約、届出準備、既存運営、事業譲渡では、改正によるリスクと今確認する項目が異なる
今後、パブリックコメント、条例改正案、区議会審議、公布、施行規則、区域図、手引改訂が確認できた段階で、本記事を更新します。
参照した主な一次資料・報道
- 読売新聞オンライン転載「民泊が全国最多の新宿区、住宅地や学校周辺の営業禁止へ」
- 新宿区「住宅宿泊事業と新宿区のルール」
- 新宿区「届出状況及び苦情処理について」
- 新宿区「住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例(案)」パブリック・コメント結果
- 新宿区議会「住民の居住環境保護と適正な民泊運営の実現に向けた制度見直しに関する意見書」
- 観光庁等「住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について(技術的助言)」
- 新宿区「令和7年第3回区議会定例会 区長説明要旨」
- 新宿区「住宅宿泊事業者に対する廃止命令について」
更新履歴
- 2026年8月27日:現行条例、行政処分、国の技術的助言を基に初回公開
- 2026年9月7日:住宅地・学校周辺の営業禁止案、既存施設への適用、年間120日制限に関する報道を受けて全面更新
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著者


行政書士 渡邊 雄一郎
トライアド行政書士事務所代表。法科大学院修了・法務博士・行政書士。民泊専門サービス「民泊GO」を運営し、住宅宿泊事業の届出、旅館業許可、特区民泊を中心に、消防・建築・近隣対応まで含めた民泊の立ち上げ支援を行っています。


