都道府県で民泊のルールが違う?上乗せ条例による営業日数制限と対応策

「民泊は年間180日まで営業できると聞いていたのに、自分のエリアでは週末しかダメだと言われた。なぜ?」

民泊新法では全国一律で年間180日の営業上限が設けられていますが、自治体は独自の「上乗せ条例」によってこれよりも厳しい制限を設けることができます。そのため、同じ民泊新法の届出でも、エリアによって営業できる日数・曜日が大きく異なります。本記事では、上乗せ条例の仕組みと主要エリアの規制内容、そして対応策を解説します。

上乗せ条例とは何か

国の法律より厳しいルールを自治体が設定できる

住宅宿泊事業法(民泊新法)は国の法律ですが、同法第18条により、都道府県・市区町村は条例によって「特定の区域・期間・日数」についてさらに制限を設けることができます。これが「上乗せ条例」です。上乗せ条例で制限できる主な内容は、営業できる区域の制限(住居専用地域での営業禁止など)、営業できる日数の制限(180日よりさらに少ない日数への制限)、営業できる曜日・時間帯の制限(平日の営業禁止など)の3種類です。

旅館業許可なら上乗せ条例の対象外になるケースが多い

民泊新法の上乗せ条例は、あくまで「民泊新法に基づく届出」に適用されます。旅館業許可を取得した場合は、民泊新法の上乗せ条例の対象外となるケースが多く、年間を通じた営業が可能になります。ただし旅館業自体にも自治体独自の要綱・条例(フロント設置の原則要求など)が定められている場合があるため、上乗せ条例がないからといって規制が一切ないわけではない点に注意してください。

主要エリアの上乗せ条例

東京都内の主要区

新宿区は月曜正午から金曜正午までの平日営業を禁止しており、金曜正午から月曜正午までの週末のみ営業が可能です。台東区は管理者が常駐しない届出住宅について月曜正午から土曜正午までの営業ができません。渋谷区は2026年7月の改正で制限区域を拡大し、家主不在型では実質的に年間63日程度まで営業日数が絞られるようになりました。千代田区・墨田区・豊島区などでも2026年に入ってから同様の規制強化が相次いでいます。

大阪市

大阪市は特区民泊の新規申請を令和8年(2026年)5月29日で終了しました。今から始めるなら旅館業許可または民泊新法の届出を選ぶことになります。民泊新法の届出については、大阪市独自の条例により、小学校・義務教育学校の敷地周囲100メートル以内では月曜正午から金曜正午までの営業が制限されます。

京都市

京都市は全国でも屈指の厳しさで知られ、住居専用地域では冬季の閑散期のみ年間約60日という制限があります。さらに市内全域で、緊急時に管理者が概ね800メートル以内・10分程度で駆けつけられる体制の確保も求められます。2026年1月には市長が営業日数の上限を実質的な「0日」とする区域の新設にも言及しており、今後さらなる規制強化が予定されています。

京都市の規制がなぜここまで厳しいのか、詳しい背景と対策は、「【京都市】民泊の上乗せ条例が全国で最も厳しい理由と対策」で解説しています。

上乗せ条例による影響の試算

新宿区で民泊新法の届出をした場合の目安

新宿区の住居専用地域で民泊新法の届出をした場合、年間営業可能日数は週末のみの約104日(52週×2日)が上限の目安になります。月間に換算すると最大でも8〜9日程度の稼働にとどまります。同じ物件でも旅館業許可を取得すれば年間を通じた営業が可能になり、月間20日以上の稼働も視野に入ります。上乗せ条例の制限が厳しいエリアほど、旅館業許可取得のメリットが大きくなる傾向があります。

上乗せ条例への対応策

①旅館業許可を取得する

上乗せ条例が厳しいエリアで収益を最大化したいなら、旅館業許可の取得が最も効果的な対応策です。初期投資は必要ですが、通年営業によって収益を大幅に向上させられる可能性があります。

旅館業が有利になる理由をより詳しく知りたい方は、「上乗せ条例の厳しいエリアで民泊を始めるなら旅館業が有利な理由」をご覧ください。

②条例が緩いエリアの物件を選ぶ

これから物件を探す場合は、上乗せ条例が緩いエリア・商業地域の物件を優先的に検討しましょう。同じ都市内でも区・エリアによって条例の内容は大きく異なります。

③条例を踏まえた収益シミュレーションを行う

物件を契約する前に、上乗せ条例による営業制限を前提とした収益シミュレーションを必ず行いましょう。制限後の収益で初期投資を回収できるかを確認することが、投資判断の基本です。

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上乗せ条例は今後も変化し続ける前提で計画する

2026年は全国的に上乗せ条例の強化が相次いだ年

2026年に入ってから、渋谷区・千代田区・墨田区・豊島区・京都市など、全国の主要な観光地・都市部で上乗せ条例の強化が相次ぎました。現時点で上乗せ条例がない、または緩やかなエリアであっても、届出件数の増加や近隣トラブルの発生をきっかけに、今後同様の規制強化が行われる可能性は十分にあります。物件を選ぶ際は「現時点でのルール」だけでなく、「今後厳しくなる可能性がどの程度あるか」という視点も踏まえて検討することをおすすめします。

上乗せ条例の確認を怠った場合の実務上のリスク

契約後に発覚すると初期投資の回収計画が崩れる

上乗せ条例の内容を確認せずに物件を契約し、後から「週末しか営業できない」と判明するケースは実務上珍しくありません。特にリノベーション費用など初期投資が大きい物件では、収益計画の前提が崩れることで投資回収そのものが困難になるおそれがあります。契約前の上乗せ条例確認は、初期費用をかける前の必須ステップとして位置づけるべきです。

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このテーマについて、さらに詳しく知りたい方はこちらもあわせてご覧ください。

  • 上乗せ条例って何?国の法律より厳しいルールが適用される仕組みを解説
  • 民泊の営業日数が180日以下に制限されている地域はどこ?主要エリア一覧
  • 上乗せ条例で民泊が禁止されているエリアとは?確認方法と対策
  • 民泊の上乗せ条例は今後どうなる?最新の動向と情報
  • 【東京都】民泊の上乗せ条例で営業できる曜日と時間帯を解説
  • 上乗せ条例の適用エリアを調べる方法:自治体窓口とオンライン確認

まとめ

  • 上乗せ条例とは、民泊新法の180日制限にさらに制限を加える自治体の条例
  • 新宿区は週末のみ、京都市は冬季のみ年間約60日など、エリアによって制限が大きく異なる
  • 旅館業許可を取得すれば民泊新法の上乗せ条例の対象外になるケースが多い
  • 物件選びの段階で上乗せ条例を確認し、収益シミュレーションに反映させることが重要

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